エネルギーとしての成り立ちについて

実は、エネルギーとしての成り立ちも、他とはちょっと違う視点から発展してきています。
日本における再生可能エネルギーの本格的な研究のスタートは、1974年に発足した「サンシャイン計画」です。1973年の第一次オイルショックによって、エネルギー問題と当時深刻になってきていた環境問題に対応し、石油だけに頼らず、クリーンで長期的に安定供給ができるエネルギーの確保を目指す動きが強まりました。サンシャイン計画では、主に太陽光発電、地熱発電、水素エネルギー、石炭の液化・ガス化などの研究が産官学連携で進められ、今日の多くの再生可能エネルギー開発へとつながりました。

それに対して、バイオマス発電は、循環型社会を目指す中で廃棄物となる植物の有効活用や減少を目的として発展してきました。


例えば、大量に発生する未利用間伐材や建築資材廃棄物、農作物残さをどうするかという問題のなかで、資源の再活用としてエネルギー利用が進められてきたのです。そのため、最初はCO2の問題や再生可能かどうかといった視点では考えられていなかったはずですが、近年、バイオマスエネルギーをどう評価するかという場面で、CO2の観点から後付け的に再生可能エネルギーに加えられたという経緯があります。

 

 

再生可能エネルギーとしてのバイオマスのメリットと問題点

再生可能エネルギーの多くは、自然現象の力を利用しているため、発電場所が限定され、また供給が自然現象に左右されがちです。しかし、バイオマスは、資源を確保できれば場所を選ばす、安定して発電のできる資源という点で期待されている部分があります。また、植物という形で太陽光エネルギーの貯蔵にもなるため、エネルギー自給率の向上につながるという見方もされています。さらに、通常ならゴミとして処理されてしまうものからエネルギーを作ることで、無駄なくエネルギーを活用できるという点でも注目が集まっています。
ただし、それはあくまで未利用資源を有効活用できた場合のメリットといえそうです。
海外では、バイオマスエネルギーの利用増加により、森林伐採の問題や食糧用作物の価格上昇リスクなども発生してきています。また、植物という形で太陽光エネルギーを貯蔵できるといっても、エネルギー効率的には直接太陽光発電をしたほうが何倍も効率がよいのも事実です。バイオマス発電のために海外からヤシガラを輸入するといったケースもあるようですが、そのヤシガラを輸送する船の燃料を考えると、果たしてクリーンで永続的なエネルギーの活用になっているのだろうか?と疑問を感じざるを得ません。

われわれの身近にある植物やゴミなど、未利用資源を有効活用することができると注目の集まっているバイオマス発電。さまざまなメリットもある反面、資源の特性から、利用の範囲を誤ると再生可能エネルギーに期待されている本来の目的から外れてしまう可能性も含んでいるといえそうです。

 

(記:緑川 文恵)

 

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