「補助金」と一言で言っても、様々なものがあります。

国や自治体が支援してくれるわけですから、「貰えるものは貰ってしまおう」と考えるのは至極当然のことです。

太陽光発電設備に対する補助金も例外ではなく、特に昨今の温室効果ガス削減の背景も手伝って、
国や自治体が再エネ導入を積極的に進めていくために補助金制度を設けているのはご承知の通りです。


ところが、この補助金というものは「薬も過ぎれば毒となる」ではないですが、罪(問題点)を抱えていると私たちは考えます。

なぜこのように考えるのかということを

①補助金の本質
②太陽光発電システムの現状

という2つの側面から補助金が抱える問題点にフォーカスをして解説していこうと思います。

① 補助金の本質

そもそも補助金の本質は何か?ということなのですが、

・サプライチェーンを構築するための起爆剤
・少数派への支援

であると考えます。

企業における製品やサービスを生み出す生産活動の流れの中で、ある特定の設備やシステムを導入することで、
生産性の向上や効率化を図ることが出来るようになる場合、補助金があることで導入に関する経済的負担を緩和することが出来ます。
また、その製品やサービスの導入者が少ない場合、需給関係からその導入価格は高くなる傾向がありますが、
補助金が介在することで導入の後押しをしてくれます。
要は製品やサービスが普及するための起爆剤として、補助金は非常に有効であると考えます。

②太陽光発電システムの現状

それでは太陽光発電システムは一体どのような状態にあるのでしょうか?


1. 発電単価の低下

発電単価(円/kWh)とは、とある規模の太陽光発電設備を購入した場合に、
その購入にかかった金額(円)をその設備が一定期間に生み出す電力の総和(kWh)で割り出した単価のことです。
要は1kWhの電力を作るのにいくらかかるかのか?という指標になります。
正確にはその期間に要する費用(メンテナンスや修理など)も含めて算出するのですが、
ここではシンプルに考えるために省いて考えてみます。
例えば50kW(一般家庭10世帯分)の太陽光発電設備を導入するのに800万円かかったとします。
50kWの設備が20年間に生み出す電力を1,100,000kWh(50kW×1,100kWh/kW×20年)と仮定します。
この場合、発電単価は8,000,000円÷1,100,000kWh=7.2円/kWhとなります。
メンテナンスや修理などの費用を含めたとしても10円強という感じですので、
仮に電気を15円/kWhとかで購入していたとしたら作った方がお得ですよね。
発電単価は設備規模(kW)が大きくなればなるほど、安くなる傾向があります。
MWクラス(1MW=1,000kW)ともなれば5円/kWhを下回るという場合もあります。


2. いくらかかるか?(価格)からどれだけCO2を減らせるか(脱炭素)へのシフト

我が国が目標とする「2030年に再エネの電源比率36~38%」を達成するためには今のうちからやっておかなくてはならない、
と考える企業が増えています。
取引先から「導入を進めなければ取引停止」という勧告を受けた方など、理由は様々です。
中には採算度外視でとにかく企業としてやることに意味があると考えられる方が増えてきているというのが実情です。
もはや「高いからやらない」と言える状況ではなくなってきていると考えます。
そして、この傾向は当然のことながらこの先も強くなっていくことが容易に想像できます。


3. 今後は価格上昇傾向

価格上昇要因はいくつかあると考えます。
・ウイグル問題や中国工場の火災によるシリコン等の原材料価格の高騰
・再エネ需要の高まり
・新型コロナウイルスの影響   
参考記事)太陽光発電設備単価の下落って、もうないのかもしれない
現在の日本の再エネ比率は2020年度実績で21.7%と言われています。
あと10年でこれを1.5倍以上に増やそうとしているわけであり、それに伴って今までは「全く考えたこともなかった」という企業ですら、
再エネ比率を高めていくことを求められるようになっていくでしょう。
目標を達成するための方法は3つしかありません。

  1. 再エネ(特に太陽光発電設備)を導入する
  2. 使用電力量を減らす(節電に徹する)
  3. 再エネクレジット(CO2排出権等)を購入する

特に自分たちで設備を所有することが難しい場合は、再エネクレジットを購入することで目標を達成しようとするわけですが、
ただでさえ足りていないのが現状ですので、今後はますます高騰していくと考えます。
CO2フリーでんきを購入しようとしたら、電力量料金単価で25円/kWhというようなことも考えられますし、
太陽光発電設備を導入しようとしたら比較対象となる単価はこちらのCO2フリーでんきの購入単価というようになっていくと思います。

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1630042413/4592161_m-1_ujqxf1/4592161_m-1_ujqxf1.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1630042413/4592161_m-1_ujqxf1/4592161_m-1_ujqxf1.jpg?_i=AAaltenergy法人自家消費太陽光発電,補助金「補助金」と一言で言っても、様々なものがあります。 国や自治体が支援してくれるわけですから、「貰えるものは貰ってしまおう」と考えるのは至極当然のことです。 太陽光発電設備に対する補助金も例外ではなく、特に昨今の温室効果ガス削減の背景も手伝って、国や自治体が再エネ導入を積極的に進めていくために補助金制度を設けているのはご承知の通りです。ところが、この補助金というものは「薬も過ぎれば毒となる」ではないですが、罪(問題点)を抱えていると私たちは考えます。 なぜこのように考えるのかということを ①補助金の本質②太陽光発電システムの現状という2つの側面から補助金が抱える問題点にフォーカスをして解説していこうと思います。 ① 補助金の本質 そもそも補助金の本質は何か?ということなのですが、 ・サプライチェーンを構築するための起爆剤・少数派への支援であると考えます。企業における製品やサービスを生み出す生産活動の流れの中で、ある特定の設備やシステムを導入することで、生産性の向上や効率化を図ることが出来るようになる場合、補助金があることで導入に関する経済的負担を緩和することが出来ます。また、その製品やサービスの導入者が少ない場合、需給関係からその導入価格は高くなる傾向がありますが、補助金が介在することで導入の後押しをしてくれます。要は製品やサービスが普及するための起爆剤として、補助金は非常に有効であると考えます。 ②太陽光発電システムの現状 それでは太陽光発電システムは一体どのような状態にあるのでしょうか? 1. 発電単価の低下 発電単価(円/kWh)とは、とある規模の太陽光発電設備を購入した場合に、その購入にかかった金額(円)をその設備が一定期間に生み出す電力の総和(kWh)で割り出した単価のことです。要は1kWhの電力を作るのにいくらかかるかのか?という指標になります。正確にはその期間に要する費用(メンテナンスや修理など)も含めて算出するのですが、ここではシンプルに考えるために省いて考えてみます。例えば50kW(一般家庭10世帯分)の太陽光発電設備を導入するのに800万円かかったとします。50kWの設備が20年間に生み出す電力を1,100,000kWh(50kW×1,100kWh/kW×20年)と仮定します。この場合、発電単価は8,000,000円÷1,100,000kWh=7.2円/kWhとなります。メンテナンスや修理などの費用を含めたとしても10円強という感じですので、仮に電気を15円/kWhとかで購入していたとしたら作った方がお得ですよね。発電単価は設備規模(kW)が大きくなればなるほど、安くなる傾向があります。MWクラス(1MW=1,000kW)ともなれば5円/kWhを下回るという場合もあります。 2. いくらかかるか?(価格)からどれだけCO2を減らせるか(脱炭素)へのシフト 我が国が目標とする「2030年に再エネの電源比率36~38%」を達成するためには今のうちからやっておかなくてはならない、と考える企業が増えています。取引先から「導入を進めなければ取引停止」という勧告を受けた方など、理由は様々です。中には採算度外視でとにかく企業としてやることに意味があると考えられる方が増えてきているというのが実情です。もはや「高いからやらない」と言える状況ではなくなってきていると考えます。そして、この傾向は当然のことながらこの先も強くなっていくことが容易に想像できます。 3. 今後は価格上昇傾向 価格上昇要因はいくつかあると考えます。・ウイグル問題や中国工場の火災によるシリコン等の原材料価格の高騰・再エネ需要の高まり・新型コロナウイルスの影響   参考記事)太陽光発電設備単価の下落って、もうないのかもしれない現在の日本の再エネ比率は2020年度実績で21.7%と言われています。あと10年でこれを1.5倍以上に増やそうとしているわけであり、それに伴って今までは「全く考えたこともなかった」という企業ですら、再エネ比率を高めていくことを求められるようになっていくでしょう。目標を達成するための方法は3つしかありません。 再エネ(特に太陽光発電設備)を導入する 使用電力量を減らす(節電に徹する) 再エネクレジット(CO2排出権等)を購入する 特に自分たちで設備を所有することが難しい場合は、再エネクレジットを購入することで目標を達成しようとするわけですが、ただでさえ足りていないのが現状ですので、今後はますます高騰していくと考えます。CO2フリーでんきを購入しようとしたら、電力量料金単価で25円/kWhというようなことも考えられますし、太陽光発電設備を導入しようとしたら比較対象となる単価はこちらのCO2フリーでんきの購入単価というようになっていくと思います。-再生可能エネルギーの総合情報サイト-