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 過去においては、電力会社は地域独占の権利が与えられ、更には総括原価方式という事業に必要なコストと利益を積み上げて電気代に反映出来ることとなっていたため、必要以上の発電設備を持つ動機はたっぷりありました。
事実上の供給責任を負っていた電力会社は、十分な調整力を持ち、電力供給については大きな問題を起こすことがなかったのです。

2016年から導入された調整力公募。2024年からは需給調整市場へと移行。
出典:新電力ネット(https://pps-net.org/column/61837)→元は経済産業省

 この仕組みには負の側面がありました。発電コストを下げる力が働かないシステムになってしまっていたのです。電力自由化というのは、発電・送配電・小売のそれぞれの事業に競争原理を導入し、電力コストを下げようという試みだったのです。

 そして送配電事業については、調整力公募がそれに該当します。
従来からの発電事業者に加えて、大手メーカー等、自家発電能力を有する企業に対してその余剰発電能力を生かして発電者として市場に参加してもらうことを促そうとしたのです。
とはいえ、巨大な自家発電設備を持ち、しかも余剰電力までを抱える企業はそれほど多くないかもしれません。
 電力事業業界とは、もともと参加者自体が少ない独占的な市場であるため、相対取引を認めてしまうと従来「ひとつの電力会社」であった発電会社と送配電会社が結託し、価格が下がりにくくなることが懸念されました。つまり寡占状態になりかねないという恐れがありました。
こうして参入者の増加を図り、更に公明正大な競争を確保するために公募制度が導入されることになったのです。

 平成28年からスタートしたこの調整力公募ですが、実際の運用はどうなっているでしょうか。
経済産業省がモニタリングし、毎年発表されているレポートがあります。
こちらによると、落札者の多くは、旧一般電気事業者となっており、応札者・落札者とも限定的であり、しかも足元では参加者が減っていることが伺えます。
また、落札した企業はその入札価格に対して、発電にかかる固定費に加えて事業報酬相当額を上乗せした金額を入札する姿勢をはっきりさせているようです。
 十分な調整力はしっかり確保出来ているようですが、コスト削減へ効果が十分な制度かどうか引き続きの観察が必要であると思われます。



記:齋藤 康広

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/v1581941913/kami4chosei1_lignyq.pnghttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/c_crop,h_294,w_294,x_127,y_0/h_150,w_150/v1581941913/kami4chosei1_lignyq.pngaltenergy個人噛み砕きシリーズ法人連載 過去においては、電力会社は地域独占の権利が与えられ、更には総括原価方式という事業に必要なコストと利益を積み上げて電気代に反映出来ることとなっていたため、必要以上の発電設備を持つ動機はたっぷりありました。事実上の供給責任を負っていた電力会社は、十分な調整力を持ち、電力供給については大きな問題を起こすことがなかったのです。 2016年から導入された調整力公募。2024年からは需給調整市場へと移行。出典:新電力ネット(https://pps-net.org/column/61837)→元は経済産業省  この仕組みには負の側面がありました。発電コストを下げる力が働かないシステムになってしまっていたのです。電力自由化というのは、発電・送配電・小売のそれぞれの事業に競争原理を導入し、電力コストを下げようという試みだったのです。  そして送配電事業については、調整力公募がそれに該当します。従来からの発電事業者に加えて、大手メーカー等、自家発電能力を有する企業に対してその余剰発電能力を生かして発電者として市場に参加してもらうことを促そうとしたのです。とはいえ、巨大な自家発電設備を持ち、しかも余剰電力までを抱える企業はそれほど多くないかもしれません。 電力事業業界とは、もともと参加者自体が少ない独占的な市場であるため、相対取引を認めてしまうと従来「ひとつの電力会社」であった発電会社と送配電会社が結託し、価格が下がりにくくなることが懸念されました。つまり寡占状態になりかねないという恐れがありました。こうして参入者の増加を図り、更に公明正大な競争を確保するために公募制度が導入されることになったのです。  平成28年からスタートしたこの調整力公募ですが、実際の運用はどうなっているでしょうか。経済産業省がモニタリングし、毎年発表されているレポートがあります。こちらによると、落札者の多くは、旧一般電気事業者となっており、応札者・落札者とも限定的であり、しかも足元では参加者が減っていることが伺えます。また、落札した企業はその入札価格に対して、発電にかかる固定費に加えて事業報酬相当額を上乗せした金額を入札する姿勢をはっきりさせているようです。 十分な調整力はしっかり確保出来ているようですが、コスト削減へ効果が十分な制度かどうか引き続きの観察が必要であると思われます。 記:齋藤 康広-再生可能エネルギーの総合情報サイト-
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