電気新聞の昨年8月14日号~9月3日号にかけて、『電力自由化キーワード』という連載が掲載されました。
そこでは電力自由化を取り巻く様々なキーワードについて解説されているのですが、中には非常に難しい内容も含まれておりますため、『噛み砕きシリーズ』と称して各記事の要点を掻い摘んでご紹介することにしました。全11本の連載記事として、毎月2本ずつアップしていく予定です。

第5弾の今回は『需給調整市場』について説明していきます。


需給調整市場

一般送配電事業者は、時々刻々と変わりゆく需要と供給量を、瞬時瞬時で一致させる作業を行なっています。
タイミングとしては、卸電力市場(JEPX)のゲートクローズ後、つまり、実需給の1時間前からその調整作業に取り掛かることになります。
小売事業者と発電事業者は計画値同時同量制度のもと、30分単位で需給が一致するようその計画遵守に努めるわけですが、そもそも完璧な予測は不可能ですし、実際の電力需要は30分単位よりももっと細かな単位で変動が発生しています。

この需要にリアルタイムで供給量を合わせるためには、いつでも動かせるよう発電機をスタンバイさせておき指令に応じて出力を調整したり、予めDR(ディマンドリスポンス)契約をしている需要家に電力の使用を控えるよう要請するなど、さまざまな方法で最終調整を行う必要があります。
これを「調整力」と言いますが、この調整力の調達について、これまでのエリアごとの公募制から、2021年度より段階的に広域での市場制へと移行することになっています。

この「需給調整市場」において、買い手は一般送配電事業者、売り手は発電事業者です。
両者間での清算は、出力の大きさ「調整力ΔkW」と、実際に供給した「電力量kWh」で行われます。


電力を取引する3つの市場。現在開設されているのは卸電力市場のみだが、今年度より容量市場、需給調整市場の順に開設される。
参照:電力広域的運営推進機関「第11回需給調整市場検討小委員会 資料4-2-2」(2019年4月25日)より

現在、調整力コストは一般送配電事業者にとって大きな負担になっていますので、広域での調達を可能にすることで競争が生まれ、コスト低減につながることが期待されています。

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