容量市場とは、近い将来に国全体で必要な電力の供給力(kW)を前もって確保するための市場です。参加者は、供給者となる①発電事業者やDR事業者、オークションを開催したり調整役となる②電力広域的運営推進機関(OCCTO)、そして実際に供給力を必要とする③電力小売事業者、の三者です。
 4年後に必要な供給力を調達することになりますので、例えば初回である2024年に必要な分を今年2020年のオークションで、2025年に必要な分は2021年のオークションで、と毎年調達することになります。当初の調達計画に変動が生じる可能性がある場合は、必要な年の前年(初回であれば2023年)に追加オークションを開催するというのが大きな流れです。

出典:日経エネルギーNext
海外事例で分かる「容量市場は高くつく」より
https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00005/


容量市場誕生の理由

 そもそもなぜこのような市場を開設する必要があったのかということですが、理由は大きく2つあると言われています。
 1つは、需給逼迫が常態化することを防ぐ目的です。今後、再エネ増加により卸電力市場に流れる電力が増えていくことが想定されています。そうなると約定価格は全体的に低くなっていくということが想像できます。その結果、火力など従来電源の採算が悪化し、新設・維持投資の見込みが立たなくなります。これは中長期的な視点で考えると、いざという時に火力等が当てにならない=需給逼迫につながる恐れがある、というリスクを孕んでいるというわけです。需給逼迫が起こってしまうと、卸電力市場の価格が下がらない(=高止まり)という状態を招き、小売事業者が不利益を被ってしまうわけです。
 2つ目の理由が卸電力市場の価格高騰を防ぐ目的です。容量市場で落札された供給力(電源やDR)は、需給逼迫時に卸電力市場に応札する義務があります(年に最大12回)。売り札が増えることで価格を安定化させることが出来るため、小売事業者が高値で落札しなくてはいけないという状況を回避できると踏んでいるわけです。ただし容量市場が一定の効果を発揮するまでには時間がかかることも予想されることから、2029年度までの激変緩和策として減価償却が進んだ電源が落札された場合は、小売事業者が負担する費用を減らすということが講じられます。

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1590105924/20200521_2_ddmbin/20200521_2_ddmbin.png?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1590105924/20200521_2_ddmbin/20200521_2_ddmbin.png?_i=AAaltenergy個人噛み砕きシリーズ法人連載 容量市場とは、近い将来に国全体で必要な電力の供給力(kW)を前もって確保するための市場です。参加者は、供給者となる①発電事業者やDR事業者、オークションを開催したり調整役となる②電力広域的運営推進機関(OCCTO)、そして実際に供給力を必要とする③電力小売事業者、の三者です。 4年後に必要な供給力を調達することになりますので、例えば初回である2024年に必要な分を今年2020年のオークションで、2025年に必要な分は2021年のオークションで、と毎年調達することになります。当初の調達計画に変動が生じる可能性がある場合は、必要な年の前年(初回であれば2023年)に追加オークションを開催するというのが大きな流れです。 出典:日経エネルギーNext海外事例で分かる「容量市場は高くつく」よりhttps://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00005/ 容量市場誕生の理由  そもそもなぜこのような市場を開設する必要があったのかということですが、理由は大きく2つあると言われています。 1つは、需給逼迫が常態化することを防ぐ目的です。今後、再エネ増加により卸電力市場に流れる電力が増えていくことが想定されています。そうなると約定価格は全体的に低くなっていくということが想像できます。その結果、火力など従来電源の採算が悪化し、新設・維持投資の見込みが立たなくなります。これは中長期的な視点で考えると、いざという時に火力等が当てにならない=需給逼迫につながる恐れがある、というリスクを孕んでいるというわけです。需給逼迫が起こってしまうと、卸電力市場の価格が下がらない(=高止まり)という状態を招き、小売事業者が不利益を被ってしまうわけです。 2つ目の理由が卸電力市場の価格高騰を防ぐ目的です。容量市場で落札された供給力(電源やDR)は、需給逼迫時に卸電力市場に応札する義務があります(年に最大12回)。売り札が増えることで価格を安定化させることが出来るため、小売事業者が高値で落札しなくてはいけないという状況を回避できると踏んでいるわけです。ただし容量市場が一定の効果を発揮するまでには時間がかかることも予想されることから、2029年度までの激変緩和策として減価償却が進んだ電源が落札された場合は、小売事業者が負担する費用を減らすということが講じられます。-再生可能エネルギーの総合情報サイト-