調整力の細分化

一口に調整力と言っても、調整対象となる需給バランスの不一致にはいくつか種類があります。

  • 安定した周波数(東日本50Hz、西日本60Hz)維持のため、つねに秒単位の細かな需給一致調整が必要。
  • 天候が急変し期待していたほど太陽光発電や風力発電からの供給が見込めない。
  • 時として急激な電源脱落という事故対応… など。

こういったケースによって求められる調整力は当然違ってくるわけで、大きくは応動時間の速さ(瞬発力)と持続時間(持続力)に大別されます。
1次調整力は瞬発力のある短距離走者、3次調整力は持続力のある長距離走者、2次調整力はそれらの間の中距離走者、といったところでしょうか。

発電者側からすると、持っている電源の種類によってどの距離の走者としてエントリーするか、当然得手不得手があります。
ただ、その能力に差こそあれ、声がかかればいつでも走れるようにウォーミングアップしておかなければいけないことは共通しています。安定した系統維持のため、最大の責任がそこにあります。

需給調整市場の開設にあたり、市場原理が働いて特定の企業に偏りが出た場合に広域の運用がうまくいくのか、そもそも本当にコスト低下につながるのかなどの懸念材料もあります。
そこでまずは、長距離走者である3次調整力のうち、再エネ予測誤差に対する調整力を市場化して様子を見ます。その後、残りの調整力ついては市場化の必要性を含め十分な検討を行なったのち、実行に移すというスケジュールになっているようです。

再エネ普及事業に携わる者としては、応動時間が早い蓄電池の調整力としての可能性に注目をしています。新しい価値が付与されることで蓄電池自体の普及に弾みがつけば、再エネの主力電源化も近づくのではないかと期待が膨らみます。



記:佐藤 誉世夫

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1582702149/keyword5_1_q75qpx/keyword5_1_q75qpx.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1582702149/keyword5_1_q75qpx/keyword5_1_q75qpx.jpg?_i=AAaltenergy個人噛み砕きシリーズ法人連載調整力の細分化 一口に調整力と言っても、調整対象となる需給バランスの不一致にはいくつか種類があります。 安定した周波数(東日本50Hz、西日本60Hz)維持のため、つねに秒単位の細かな需給一致調整が必要。天候が急変し期待していたほど太陽光発電や風力発電からの供給が見込めない。時として急激な電源脱落という事故対応… など。 こういったケースによって求められる調整力は当然違ってくるわけで、大きくは応動時間の速さ(瞬発力)と持続時間(持続力)に大別されます。1次調整力は瞬発力のある短距離走者、3次調整力は持続力のある長距離走者、2次調整力はそれらの間の中距離走者、といったところでしょうか。 発電者側からすると、持っている電源の種類によってどの距離の走者としてエントリーするか、当然得手不得手があります。ただ、その能力に差こそあれ、声がかかればいつでも走れるようにウォーミングアップしておかなければいけないことは共通しています。安定した系統維持のため、最大の責任がそこにあります。 需給調整市場の開設にあたり、市場原理が働いて特定の企業に偏りが出た場合に広域の運用がうまくいくのか、そもそも本当にコスト低下につながるのかなどの懸念材料もあります。そこでまずは、長距離走者である3次調整力のうち、再エネ予測誤差に対する調整力を市場化して様子を見ます。その後、残りの調整力ついては市場化の必要性を含め十分な検討を行なったのち、実行に移すというスケジュールになっているようです。 再エネ普及事業に携わる者としては、応動時間が早い蓄電池の調整力としての可能性に注目をしています。新しい価値が付与されることで蓄電池自体の普及に弾みがつけば、再エネの主力電源化も近づくのではないかと期待が膨らみます。 記:佐藤 誉世夫-再生可能エネルギーの総合情報サイト-