Eneleaks連載 新シリーズ
「再生可能エネルギーが気になるノベル」

今までにEneleaksに掲載してきた再生可能エネルギーの話を、ライトノベルでお届けします。

 


前回までのストーリー 「再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-3」

 

 

 

 

 

 

 


 向かい合ってフローリングに座った。郁実は一つしかないクッションをひなたに勧める。
 うさおは郁実の鞄から菓子パンを発見した。
「私は人間じゃないから、普通は人には見えないんだよね」
そう自己紹介しても人間の美少女にしか見えないひなたであったが、郁実の前で電源に繋がっていないパソコンを動かしてみせたので、人間でないことは信じられた。
「太陽光発電のひなたっていいます。ここの屋根のソーラーパネルに住んでるから、郁実君のことも、もっと小さい頃から知ってるよ」
「ソーラーパネルって、上の、太陽電池?」
「そうだよ」
 ひなたがゲーム機に挿しっぱなしの電源アダプターを手に取り、差し込み口を両手で包んだ。電源ランプが点灯し、ディスクが回る。しかし、手を離すと消えてしまう。
「太陽光で発電してみた」
えへへと笑った。頬にえくぼができる。ひなたのいる場所には、窓から差す光が当たっていた。
「郁実君がOrganicBerry Piを手に入れてくれたから、私のことが見えるようになったんだよ。ずっと友達になりたかったけど、やっと会えた!」
 ぎゅっと郁実に抱きついてきた。
 記憶の限りでは初めてで、自身に訪れるはずのない感触に郁実は固まった。ひなたは人ではないはずなのに、女の子とはこんなにも柔らかいのだと感じてしまう。ふかふかの蒲団のような、日向の匂いが立ち上る。
「あれ、また息が苦しくなってる……?」
 ドキドキしてるよ、とひなたが周りの空気が黒ずんでいないかを見回した。郁実に抱きついたままで。
「あ、あの、そうじゃないんで!」
 郁実はひなたを押しのけた。急な拒絶に、ひなたが傷ついた顔をする。
「ごめん、嫌だった……?」
「そうじゃ、ないんです、けど……女の子だし、こういうの……」
 段々、声が小さくなる。
「……そう言われると、私も恥ずかしい気がしてきた……」
 ひなたが目をそらす。郁実の表情から、羞恥心と緊張感は読み取る。この家の前で、カップルが抱き合って別れを惜しんでいるのを見たときや、通りすがりに女性とぶつかってしまったときと同じ顔をしている。きっと郁実にとって、女性の形をしたものとの接触は、特別なことなのだ。
 ハプニングにより猜疑心をひとまず置いておくことができた郁実は、Blueberry PiもどきのOrganicBerry Piについてひなた尋ねた。

 

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1524451614/nvl04_2_heart_small_igpfjy/nvl04_2_heart_small_igpfjy.png?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1524451614/nvl04_2_heart_small_igpfjy/nvl04_2_heart_small_igpfjy.png?_i=AAaltenergy連載ecology    Eneleaks連載 新シリーズ 「再生可能エネルギーが気になるノベル」 今までにEneleaksに掲載してきた再生可能エネルギーの話を、ライトノベルでお届けします。   前回までのストーリー 「再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-3」                向かい合ってフローリングに座った。郁実は一つしかないクッションをひなたに勧める。  うさおは郁実の鞄から菓子パンを発見した。 「私は人間じゃないから、普通は人には見えないんだよね」 そう自己紹介しても人間の美少女にしか見えないひなたであったが、郁実の前で電源に繋がっていないパソコンを動かしてみせたので、人間でないことは信じられた。 「太陽光発電のひなたっていいます。ここの屋根のソーラーパネルに住んでるから、郁実君のことも、もっと小さい頃から知ってるよ」 「ソーラーパネルって、上の、太陽電池?」 「そうだよ」  ひなたがゲーム機に挿しっぱなしの電源アダプターを手に取り、差し込み口を両手で包んだ。電源ランプが点灯し、ディスクが回る。しかし、手を離すと消えてしまう。 「太陽光で発電してみた」 えへへと笑った。頬にえくぼができる。ひなたのいる場所には、窓から差す光が当たっていた。 「郁実君がOrganicBerry Piを手に入れてくれたから、私のことが見えるようになったんだよ。ずっと友達になりたかったけど、やっと会えた!」  ぎゅっと郁実に抱きついてきた。  記憶の限りでは初めてで、自身に訪れるはずのない感触に郁実は固まった。ひなたは人ではないはずなのに、女の子とはこんなにも柔らかいのだと感じてしまう。ふかふかの蒲団のような、日向の匂いが立ち上る。 「あれ、また息が苦しくなってる……?」  ドキドキしてるよ、とひなたが周りの空気が黒ずんでいないかを見回した。郁実に抱きついたままで。 「あ、あの、そうじゃないんで!」  郁実はひなたを押しのけた。急な拒絶に、ひなたが傷ついた顔をする。 「ごめん、嫌だった……?」 「そうじゃ、ないんです、けど……女の子だし、こういうの……」  段々、声が小さくなる。 「……そう言われると、私も恥ずかしい気がしてきた……」  ひなたが目をそらす。郁実の表情から、羞恥心と緊張感は読み取る。この家の前で、カップルが抱き合って別れを惜しんでいるのを見たときや、通りすがりに女性とぶつかってしまったときと同じ顔をしている。きっと郁実にとって、女性の形をしたものとの接触は、特別なことなのだ。  ハプニングにより猜疑心をひとまず置いておくことができた郁実は、Blueberry PiもどきのOrganicBerry Piについてひなた尋ねた。  -再生可能エネルギーの総合情報サイト-