Eneleaks連載 新シリーズ
「再生可能エネルギーが気になるノベル」

今までにEneleaksに掲載してきた再生可能エネルギーの話を、ライトノベルでお届けします。

 


前回までのストーリー 「再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-2」

 

 

 ひなたがACアダプターの差し込み口を両手で包む。
 目を閉じて胸に押し当てると、柔らかい光が掌から漏れ出した。
 再び電源を得たかのように、OrganicBerry Piが起動した。
 郁実は白いうさおの手ごとOrganicBerry Piを掴み、スイッチを押して青い光線をもやに向けた。
 黒いもやが薄くなっていく。先ほどより大きな体積のもやを、細いビームを動かして消した。
 完全に消えてからもOrganicBerry Piを構えたままでいたが、空気が再び黒ずむことはなかった。
 郁実とひなたの安堵のため息が同時に出た。もう息苦しくはない。うさおがにんじんの葉っぱをむしゃむしゃ食べる音が聞こえる。
「今の、なに……?」
「フォッシルズって私たちは呼んでる」
 ひなたの回答を聞いて、郁実は、初対面の女性に何の挨拶もなしに話しかけてしまったことに気がついた。胡散臭い相手ではあるが、馴れ馴れしいと思われるのも嫌だ。
「私たち、って何ですか」
 クラスメイトの女子が郁実に向ける、机や椅子を見るときと変わらない無感情な視線を思い出して、今更だが丁寧に話し始める。
「再生可能エネルギーの仲間」
 ひなたはサイセイカノウとよくわからないことを言う。先ほどのフォッシルズとやらも意味不明だ。
 ベランダからやってきたひなたへの不信感が増した。
 目鼻立ちがはっきりしていて、濃い茶色の髪をポニーテールで括った活発そうな少女だ。シンプルなポロシャツとスカートがテニスウェアのようで、健康的な腕と脚もスタイルが良い。
 はっきりいって可愛いので、なおさらたちが悪い。
「どういう詐欺なんですか? 父さんは当分帰りません」
「私は郁実君に用があるんだけど」
 ひなたが眉尻を下げて、困り顔まで可愛らしく、郁実を見上げる。
「じゃあ、俺を騙して、うちのお金を持ってこさせるつもりですか。それとも人質にしてここに立てこもるんですか」
 洗脳というのもあるなあ、と聞いたことのある詐欺やカルトのニュースを思い出しておく。
「郁実君、もしかして、私のこと悪いやつだと思ってる……?」
「そうじゃなきゃ、俺に何の用があるんです」
 こんな可愛い女の子が、郁実の家に押しかける理由が善意であるはずがない。きっと女の子に慣れていなくて騙しやすそうだと思われているのだ。
 ひなたのようなポニーテールとミニスカートの似合う美少女は、普段は男女とも隔てなく仲の良いグループで、バーベキューや海水浴で盛り上がって、くだらない話題でも楽しそうに騒いでいるのがお似合いだ。郁実とは住む世界が違うのだ。

 

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1522724343/lnv03_2_usao1_sgzeig/lnv03_2_usao1_sgzeig.png?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1522724343/lnv03_2_usao1_sgzeig/lnv03_2_usao1_sgzeig.png?_i=AAaltenergy連載ecology    Eneleaks連載 新シリーズ 「再生可能エネルギーが気になるノベル」 今までにEneleaksに掲載してきた再生可能エネルギーの話を、ライトノベルでお届けします。   前回までのストーリー 「再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-2」      ひなたがACアダプターの差し込み口を両手で包む。  目を閉じて胸に押し当てると、柔らかい光が掌から漏れ出した。  再び電源を得たかのように、OrganicBerry Piが起動した。  郁実は白いうさおの手ごとOrganicBerry Piを掴み、スイッチを押して青い光線をもやに向けた。  黒いもやが薄くなっていく。先ほどより大きな体積のもやを、細いビームを動かして消した。  完全に消えてからもOrganicBerry Piを構えたままでいたが、空気が再び黒ずむことはなかった。  郁実とひなたの安堵のため息が同時に出た。もう息苦しくはない。うさおがにんじんの葉っぱをむしゃむしゃ食べる音が聞こえる。 「今の、なに……?」 「フォッシルズって私たちは呼んでる」  ひなたの回答を聞いて、郁実は、初対面の女性に何の挨拶もなしに話しかけてしまったことに気がついた。胡散臭い相手ではあるが、馴れ馴れしいと思われるのも嫌だ。 「私たち、って何ですか」  クラスメイトの女子が郁実に向ける、机や椅子を見るときと変わらない無感情な視線を思い出して、今更だが丁寧に話し始める。 「再生可能エネルギーの仲間」  ひなたはサイセイカノウとよくわからないことを言う。先ほどのフォッシルズとやらも意味不明だ。  ベランダからやってきたひなたへの不信感が増した。  目鼻立ちがはっきりしていて、濃い茶色の髪をポニーテールで括った活発そうな少女だ。シンプルなポロシャツとスカートがテニスウェアのようで、健康的な腕と脚もスタイルが良い。  はっきりいって可愛いので、なおさらたちが悪い。 「どういう詐欺なんですか? 父さんは当分帰りません」 「私は郁実君に用があるんだけど」  ひなたが眉尻を下げて、困り顔まで可愛らしく、郁実を見上げる。 「じゃあ、俺を騙して、うちのお金を持ってこさせるつもりですか。それとも人質にしてここに立てこもるんですか」  洗脳というのもあるなあ、と聞いたことのある詐欺やカルトのニュースを思い出しておく。 「郁実君、もしかして、私のこと悪いやつだと思ってる……?」 「そうじゃなきゃ、俺に何の用があるんです」  こんな可愛い女の子が、郁実の家に押しかける理由が善意であるはずがない。きっと女の子に慣れていなくて騙しやすそうだと思われているのだ。  ひなたのようなポニーテールとミニスカートの似合う美少女は、普段は男女とも隔てなく仲の良いグループで、バーベキューや海水浴で盛り上がって、くだらない話題でも楽しそうに騒いでいるのがお似合いだ。郁実とは住む世界が違うのだ。  -再生可能エネルギーの総合情報サイト-