~序章 – プロローグ~

 

2017年4月、会社に一件の問い合わせをいただきました。

その方は、蓄電池付きの太陽光発電システムの設置を希望されていましたが、
一度弊社の営業が訪問させていただきその結果を技術チームで検証した時、​
どうやら少し違った考えをお持ちの方なのでは?という思いに駆られました。

株式会社オルテナジーでは、3年ほど前から「次世代の定置型バッテリーとは何か」
という研究テーマで新しいバッテリーを探していました。

そのためには、これからどのような世界になっていくのかということを考える
必要性があると感じ、日々議論を重ねていたのです。

 

  • 本当にEVが普及するのか。
  • EVのバッテリーを使うということにリアリティがあるのか。​
  • 送電網をこれから継続するのか。
  • 自然エネルギーを使うためにはバッテリーは必須なのか。
  • そのバッテリーはどのようなものなのか。

 

それらのことを検討するにあたっていくつかのことが見えてきました。

1)バッテリーの特性は、「貯める」ことと、「運ぶ」ことを分けて
考えるべきであるということ。​

2)バッテリーは単なる電気の入れものであるということ。
(再生可能エネルギーでは、この視点が実は重要)

​3)大量に使い消耗品であることを考えると、リサイクル可能である
ということを今のうちから考えておかなければならないということ。

再生可能エネルギーの普及ということをとらえると、

  • バッテリーの特性から、「運ぶ」を無くすことによって選択肢が
    大幅に広がること。
  • 使っている原材料を分析することによって、今後安くなる可能性が
    高くかつ安全であること。
  • また、電池は消耗品であるという観点が抜けている中で、大量に電池を
    使う時代には、処理方法が簡単で再生可能なものが必要であること。

 

という視点から、一つのバッテリーに目をつけていました。

そのバッテリーが、エネリークスでも何度か紹介させてもらっているAHIであり、
昨年からバッテリーの性能評価試験を行ってまいりました。
その中で、このバッテリーが持つある1つの特性に注目をしていました。

DOD(放電深度)100%

 

このバッテリーの一つの特徴ではあるのですが、これが何を意味するのか?

その意味を確認するところから​始めました。

その後、何度か議論を重ねるうちに一つの仮説を導き出しました。

 

「オフグリッド化された住宅で最も大切となるポイントは、
ためた電気を100
%出し切ることができるバッテリーであることではないか?」

 

再生可能エネルギーの最大の弱点は、その不安定さです。

インプット量の変動が大きいため、それに耐えうるタフなバッテリーが必要
となります。要は変動による劣化が少ない(PSOC=部分充電状態による運用)
バッテリーである必要があり、これは従来の鉛バッテリーやリチウムイオン
バッテリーでも難しいと言われている点です。

そして、得られた電気を使い切るには、このDODが100%に近ければ近いほど
望ましいわけです。そして、100%出し切ったとしても劣化がしにくいタフさ。

 

住宅をオフグリッド化するときに必要な本質的な容量のことなど、様々なことを
考えていくうちに、このバッテリーはかなりの確率で選択肢になりうるということを、
一つの結論として持っていました。

様々な実験を重ね、どのタイミングで実用化を進めようか?
と思っていた矢先の出来事でした。

「もしかしてこのお客様は、自宅をオフグリッド化することに
興味があるのではないだろうか?」

 

技術チーム内でその議論が起こり、​営業に確認を取ってもらうと
その通りであることが分かりました。

住宅のオフグリッド化は我々の一つの目標であり、それを実際に体験していただき、
その状況をフィードバックしてもらえる。

その状況が今訪れたのではないかと考えました。

 

To Be Continued

(記:髙橋 眞剛)

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1507897269/29cd741fecca62780843571af8ad4b7a_m47ao8/29cd741fecca62780843571af8ad4b7a_m47ao8.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1507897269/29cd741fecca62780843571af8ad4b7a_m47ao8/29cd741fecca62780843571af8ad4b7a_m47ao8.jpg?_i=AAaltenergyオフグリット生活(開発秘話)蓄電連載offgridhouse~序章 - プロローグ~   2017年4月、会社に一件の問い合わせをいただきました。 その方は、蓄電池付きの太陽光発電システムの設置を希望されていましたが、 一度弊社の営業が訪問させていただきその結果を技術チームで検証した時、​ どうやら少し違った考えをお持ちの方なのでは?という思いに駆られました。 ​ 株式会社オルテナジーでは、3年ほど前から「次世代の定置型バッテリーとは何か」 という研究テーマで新しいバッテリーを探していました。 ​ そのためには、これからどのような世界になっていくのかということを考える 必要性があると感じ、日々議論を重ねていたのです。   本当にEVが普及するのか。 EVのバッテリーを使うということにリアリティがあるのか。​ 送電網をこれから継続するのか。 自然エネルギーを使うためにはバッテリーは必須なのか。 そのバッテリーはどのようなものなのか。   それらのことを検討するにあたっていくつかのことが見えてきました。 ​ 1)バッテリーの特性は、「貯める」ことと、「運ぶ」ことを分けて 考えるべきであるということ。​ 2)バッテリーは単なる電気の入れものであるということ。 (再生可能エネルギーでは、この視点が実は重要) ​3)大量に使い消耗品であることを考えると、リサイクル可能である ということを今のうちから考えておかなければならないということ。 再生可能エネルギーの普及ということをとらえると、 バッテリーの特性から、「運ぶ」を無くすことによって選択肢が 大幅に広がること。 使っている原材料を分析することによって、今後安くなる可能性が 高くかつ安全であること。 また、電池は消耗品であるという観点が抜けている中で、大量に電池を 使う時代には、処理方法が簡単で再生可能なものが必要であること。   という視点から、一つのバッテリーに目をつけていました。 ​ そのバッテリーが、エネリークスでも何度か紹介させてもらっているAHIであり、 昨年からバッテリーの性能評価試験を行ってまいりました。 その中で、このバッテリーが持つある1つの特性に注目をしていました。 ​ DOD(放電深度)100%   このバッテリーの一つの特徴ではあるのですが、これが何を意味するのか? その意味を確認するところから​始めました。 ​ その後、何度か議論を重ねるうちに一つの仮説を導き出しました。   「オフグリッド化された住宅で最も大切となるポイントは、 ためた電気を100%出し切ることができるバッテリーであることではないか?」   再生可能エネルギーの最大の弱点は、その不安定さです。 インプット量の変動が大きいため、それに耐えうるタフなバッテリーが必要 となります。要は変動による劣化が少ない(PSOC=部分充電状態による運用) バッテリーである必要があり、これは従来の鉛バッテリーやリチウムイオン バッテリーでも難しいと言われている点です。 そして、得られた電気を使い切るには、このDODが100%に近ければ近いほど 望ましいわけです。そして、100%出し切ったとしても劣化がしにくいタフさ。   住宅をオフグリッド化するときに必要な本質的な容量のことなど、様々なことを 考えていくうちに、このバッテリーはかなりの確率で選択肢になりうるということを、 一つの結論として持っていました。 ​ 様々な実験を重ね、どのタイミングで実用化を進めようか? と思っていた矢先の出来事でした。 ​ 「もしかしてこのお客様は、自宅をオフグリッド化することに 興味があるのではないだろうか?」   技術チーム内でその議論が起こり、​営業に確認を取ってもらうと その通りであることが分かりました。 ​ 住宅のオフグリッド化は我々の一つの目標であり、それを実際に体験していただき、 その状況をフィードバックしてもらえる。 その状況が今訪れたのではないかと考えました。   To Be Continued (記:髙橋 眞剛)-再生可能エネルギーの総合情報サイト-