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Eneleaks連載 新シリーズ
「再生可能エネルギーが気になるノベル」

今までにEneleaksに掲載してきた再生可能エネルギーの話を、ライトノベルでお届けします。

 


前回までのストーリー 「再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-4」

 


ルレイ神父が出ている「電気代で損する人にならないために」(漫画)がダウンロードできます。

「電気代で損する人にならないために」

 

 

 

「でも、ぼくがビームしたのに、なんできえなかったんだろう」
 うさおが始めに除去したフォッシルズが、間もなくして復活してしまったことに首を傾げる。郁実も頷いた。
「フォッシルズは、太陽光発電とか、再生可能エネルギーの光を当てないと、かえって増えちゃうんだよね」
 その仕様については、郁実はひなたとのやりとりで推測していた。その上で、うさおと同様の疑問を抱いていた。
 窓を開いてベランダに出た。軒を見上げると、軒下に固定するタイプの太陽光架台の端が見える。屋根の上では電池が煌々と光を受けて発電しているはずだ。
「うち、太陽光発電ついてるのに。天気もいいし。なんでフォッシルズに効かなかったんだろう」
「それは、全量売電だからデース!」
 突然、よく通る声がベランダの下から聞こえた。
 見下ろすと、数年ぶりに会う僧衣の金髪の男性がいた。郁実の家が太陽光発電を導入するときに、アドバイスをくれた人物だ。
 どこの神父なのかはわからないが、神父だと自己紹介されたので、ルレイ神父と呼んでいる。アニメに出てくる外国人のような胡散臭い喋り方をするので、よく覚えている。
 郁実は家の外に出た。ひなたとうさおが後をついてくる。
 ひなたを見て、ルレイがにこにこ笑った。
「ひなたサン、ようやく郁実サンとあえたのデスネ」
「はい……!」
 ルレイはひなたのことを知っているようだ。郁実より前からひなたが見えていたことが、少し面白くないと感じる。
「ルレイ神父も、再生可能エネルギーなんですか」
「違いますが、再生可能エネルギーに身を捧げているので、見えるのデ〜ス」
 うさおがルレイにちょこちょこ近づいた。
「うさぎさんは、初めましてデスネ。私はルレイです」
「よろしくね。まんぷくうさおだよ!」
 くんくんと黒い僧衣の匂いを嗅ぐ。食べ物の気配だ。
「ルレイさんから、しんせんで、おいしいにおいがするよ」
「この香りでしょうか」
 ルレイがキノコを取り出した。
「太陽光発電の未熟な設置のために、雨漏りしてしまったお宅に生えたものデス」
「たべていいの?」
「うさお、それは食べない方が……」
 郁実は思ったが、強くは止めない。
「シンプル・レイなら雨漏りしません。屋根に穴を開けませんから……」
 ルレイが雨漏りしてしまった家のために祈る。ルレイはシンプル・レイの教えを広める自称神父なのだ。このアパートもシンプル・レイ架台で太陽光パネルを設置している。
 むしゃむしゃと「あんまりおいしくないぞ」と言いながらキノコを食べるうさおを横に、郁実はルレイに、太陽光パネルがついているのにコンセントから太陽光の電気が使えなかった理由を尋ねる。
「太陽光発電の電気を、電力会社が買い取っていることはご存知デスカ」
「なんとなく……」
「FIT制度、つまり買取額を高めに固定する制度を設けることで、こんなにも太陽光発電は普及しました」
「でもそれって、使わない電気だけじゃないんですか?」
 余りを他の人に使って貰うのではないのかと郁実は首を傾げる。
「普通のご家庭でしたらそうです。しかしFITには、二段階あるのデス」
 ルレイはメゾネットタイプのアパートの屋根を見上げた。
「発電量が10kWhあるかが運命の分かれ目なのデス……。kWhとは一時間あたりのキロワット、つまり電気の量デスね。10kWh未満であれば、郁実サンのいうように、ご家庭で使用した分の残りを売ることになりマス。余剰売電デスね。
 しかしこのアパートの屋根は大きいですから、10kWhを超えていマ〜ス。こちらですと、発電した電気をすべて買い取ることができてしまうのデス。全量売電です。買取価格はお安めですが、20年の買い取りが保証されているのデス。ちなみに余剰は10年間になりマス」
「なんだよそれ。父さん、エコとかいいながら、儲けるためだけにつけたのかよ」
「否定はしませんが、この屋根も立派な発電所となって、再生可能エネルギーを電力会社を通して皆様に使っていただいているのデスヨ。発電所さえ作ってしまえば、こちらのものデス。フフフ……」
 ルレイが悪い顔でほくそ笑んだ。

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