太陽光の施工基準で、アマチュア無線のアンテナの近くにパワコンを設置しないように、というものがあります。
パワコンから出る電磁波が、無線通信のノイズになるからということです。

ただ、実際にノイズが入ったと近所から苦情が入った例もあれば、無線局を開局しながらも自宅に太陽光発電を設置している例もあり、
一概に影響がある・ないとは言えないようです。

そこで、実際にパワコンの近くだとどれほどノイズが入るのか、確認してみることにしました。

 

筆者の従事者免許は中学生の頃に取得したので、保存状態は悪いですが、期限のない国家資格です。
無線機はハンディ機。アンテナはデフォルトの短いものではなく、長く伸びるものをつけています。
充電池がリチウムイオンではなくニッケルカドミウムというところに時代を感じます。

 

アマチュア無線は、前世紀には人気の趣味でした。世界中の局と交信し、名刺代わりのポストカード(QSLカードといいます)を交換し、コレクションしている人がたくさんいました。
インターネットや携帯電話の普及で廃れてしまいましたが、今は防災の観点から、また注目されています。

携帯電話との大きな違いは、個人が局として発信できること。
携帯電話は、携帯電話会社の基地局経由で、携帯電話会社のネットワークを使って通信するもの。所詮は子機です。
携帯電話会社のアンテナが遠いところや、回線が混んでしまったときは通信できません。
地震のときに、携帯電話が繋がらなくて大変な思いをした方もいるのではないでしょうか。

一方でアマチュア無線局同士の通信は、他のネットワークを経由することなく、無線局同士で直接行われます。
当然、携帯電話よりも大きな出力が必要になるので、ハンディ機であっても写真のような大きさになります。
ちょっとしたラジオ局のような扱いなので、免許もいります。
しかし、無線機さえあればどこでも通信ができるので、携帯電話が繋がらないときでも誰かに繋がります。
震災の時に、アマチュア無線で救援を呼んだり情報を交換した話も多く聞きます。
災害時に備えて、筆者もたまに動作確認しています。

ただし、無線局の免許が切れているので、緊急時のSOSくらいしか発信できません。

アマチュア無線局の開局には二つ免許が必要で、従事者の免許は一生ものですが、
専用のアドレス(コールサインといいます)を持って無線局を構える免許は五年ごとに更新が必要なのです。
自身で無線局を持たず、学校のクラブなどで活動するだけなら、局の免許はいらないということです。

 

さて、まずは理想的なアマチュア無線環境へ。

多摩川にかかる橋の上です。周りに建物がなく、高さもあります。

局の免許が切れているため発信はできないので、どなたかが使っている周波数を探して、受信状態を確認しましょう。
アマチュア無線は、法律で決められた帯域の中で、周波数を相手と合わせて会話します。会話はすべてオープンです。

とてもクリアに会話が聞こえます。男性同士でした。

 

さて、オフィスに戻り、屋内で良い環境を探しましょう。

倉庫がありました。パソコンなどが一台もありません。
ノイズ一つなく、クリアに会話が聞こえます。

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さて、問題の太陽光設備へ。

会社の屋上です。日々、製品開発における様々な実験を行うための太陽光パネルです。

無線機が受信し続ける会話に、ジジッ……とノイズが入りました。しかし内容は聞き取れます。

問題のパワコン本体のそばへ。

無線機の様子はどうでしょうか。

うーん、ちょっとノイズがパネルの近くよりも大きいような。
確実にノイズはあります。倉庫では聞こえなかったノイズです。
音声が聞き取れないほどではありませんが。

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パワコンは無線機に、影響はあるようです。

 

しかし、無線機に影響があるのはパワコンだけではないのです。
オフィスの筆者の座席だとノイズだらけで全く聞こえません。部屋にはパソコンや複合機など、様々な機械があります。

 

こんな雰囲気の良い川沿いの公園でもアマチュア無線の交信は難しいです。
川のある谷間はもともと無線に向いていません。周りに家もたくさんあります。

ohashi161213_09

じつは、筆者が局の免許を更新しなかったのは、ある時期から自宅ではノイズだらけで何も聞こえなくなってしまったからです。

 

つまり……

太陽光が原因でアマチュア無線の状況が悪くなったというクレームが入るということは、その方はそれまでは、
パソコンや電磁波を出す家電が溢れるこの世の中で、緻密に計算し、アンテナなどを調整し、クリアな音質であったり、
より遠くの無線局まで届くものであったり、自身のアマチュア無線局を維持してきたということです。

 

パワコンを、電磁波を遮る箱に入れるという対応が有効だそうです。
しかし、機器の位置関係や、他の電子機器の影響もあり、どんな影響がある・ないと言い切れないため、対応がマニュアル化しづらいのです。

ですが、始めに書いた通り、アマチュア無線は、災害時の通信手段として注目されています。
エネリークス読者の方はご存知のように、太陽光発電は、蓄電池と併用することで災害時の電力として注目されています。

 

電気だけ・通信だけという見方ではなく、総合的にグリッドから独立可能な設備を意識しておけば、いざというときの安心に繋がるのではないでしょうか。

 

 

 

 

(大橋矩美子)


http://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/v1498797787/ohashi161213_08_hkaarx_hvbip4.jpghttp://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/c_crop,h_600,w_600,x_100,y_0/h_150,w_150/v1498797787/ohashi161213_08_hkaarx_hvbip4.jpgaltenergy守るsimplelay太陽光の施工基準で、アマチュア無線のアンテナの近くにパワコンを設置しないように、というものがあります。 パワコンから出る電磁波が、無線通信のノイズになるからということです。 ただ、実際にノイズが入ったと近所から苦情が入った例もあれば、無線局を開局しながらも自宅に太陽光発電を設置している例もあり、 一概に影響がある・ないとは言えないようです。 そこで、実際にパワコンの近くだとどれほどノイズが入るのか、確認してみることにしました。   筆者の従事者免許は中学生の頃に取得したので、保存状態は悪いですが、期限のない国家資格です。 無線機はハンディ機。アンテナはデフォルトの短いものではなく、長く伸びるものをつけています。 充電池がリチウムイオンではなくニッケルカドミウムというところに時代を感じます。   アマチュア無線は、前世紀には人気の趣味でした。世界中の局と交信し、名刺代わりのポストカード(QSLカードといいます)を交換し、コレクションしている人がたくさんいました。 インターネットや携帯電話の普及で廃れてしまいましたが、今は防災の観点から、また注目されています。 携帯電話との大きな違いは、個人が局として発信できること。 携帯電話は、携帯電話会社の基地局経由で、携帯電話会社のネットワークを使って通信するもの。所詮は子機です。 携帯電話会社のアンテナが遠いところや、回線が混んでしまったときは通信できません。 地震のときに、携帯電話が繋がらなくて大変な思いをした方もいるのではないでしょうか。 一方でアマチュア無線局同士の通信は、他のネットワークを経由することなく、無線局同士で直接行われます。 当然、携帯電話よりも大きな出力が必要になるので、ハンディ機であっても写真のような大きさになります。 ちょっとしたラジオ局のような扱いなので、免許もいります。 しかし、無線機さえあればどこでも通信ができるので、携帯電話が繋がらないときでも誰かに繋がります。 震災の時に、アマチュア無線で救援を呼んだり情報を交換した話も多く聞きます。 災害時に備えて、筆者もたまに動作確認しています。 ただし、無線局の免許が切れているので、緊急時のSOSくらいしか発信できません。 アマチュア無線局の開局には二つ免許が必要で、従事者の免許は一生ものですが、 専用のアドレス(コールサインといいます)を持って無線局を構える免許は五年ごとに更新が必要なのです。 自身で無線局を持たず、学校のクラブなどで活動するだけなら、局の免許はいらないということです。   さて、まずは理想的なアマチュア無線環境へ。 多摩川にかかる橋の上です。周りに建物がなく、高さもあります。 局の免許が切れているため発信はできないので、どなたかが使っている周波数を探して、受信状態を確認しましょう。 アマチュア無線は、法律で決められた帯域の中で、周波数を相手と合わせて会話します。会話はすべてオープンです。 とてもクリアに会話が聞こえます。男性同士でした。   さて、オフィスに戻り、屋内で良い環境を探しましょう。 倉庫がありました。パソコンなどが一台もありません。 ノイズ一つなく、クリアに会話が聞こえます。 さて、問題の太陽光設備へ。 会社の屋上です。日々、製品開発における様々な実験を行うための太陽光パネルです。 無線機が受信し続ける会話に、ジジッ……とノイズが入りました。しかし内容は聞き取れます。 問題のパワコン本体のそばへ。 無線機の様子はどうでしょうか。 うーん、ちょっとノイズがパネルの近くよりも大きいような。 確実にノイズはあります。倉庫では聞こえなかったノイズです。 音声が聞き取れないほどではありませんが。   パワコンは無線機に、影響はあるようです。   しかし、無線機に影響があるのはパワコンだけではないのです。 オフィスの筆者の座席だとノイズだらけで全く聞こえません。部屋にはパソコンや複合機など、様々な機械があります。   こんな雰囲気の良い川沿いの公園でもアマチュア無線の交信は難しいです。 川のある谷間はもともと無線に向いていません。周りに家もたくさんあります。 じつは、筆者が局の免許を更新しなかったのは、ある時期から自宅ではノイズだらけで何も聞こえなくなってしまったからです。   つまり…… 太陽光が原因でアマチュア無線の状況が悪くなったというクレームが入るということは、その方はそれまでは、 パソコンや電磁波を出す家電が溢れるこの世の中で、緻密に計算し、アンテナなどを調整し、クリアな音質であったり、 より遠くの無線局まで届くものであったり、自身のアマチュア無線局を維持してきたということです。   パワコンを、電磁波を遮る箱に入れるという対応が有効だそうです。 しかし、機器の位置関係や、他の電子機器の影響もあり、どんな影響がある・ないと言い切れないため、対応がマニュアル化しづらいのです。 ですが、始めに書いた通り、アマチュア無線は、災害時の通信手段として注目されています。 エネリークス読者の方はご存知のように、太陽光発電は、蓄電池と併用することで災害時の電力として注目されています。   電気だけ・通信だけという見方ではなく、総合的にグリッドから独立可能な設備を意識しておけば、いざというときの安心に繋がるのではないでしょうか。         (大橋矩美子)-再生可能エネルギーの総合情報サイト-