では、どのように取引されているのかということについて説明します。例えば、太陽光発電設備を持つ「発電事業者」がFITを使って売電したとします。2020年度の産業用(50~250kW未満)であれば税抜12円/kWhで買取事業者(電力会社)が買い取ってくれますよね。
買取事業者が買い取った電力は「電気(FIT)」の価値と「非化石価値(FIT)」に分けることができ、電気の価値はJEPXの卸電力市場を介して小売事業者に販売されます。
 ちなみにこの電気は環境価値を切り離された電気となりますので、火力発電で作られた電気など(化石電源)と同質のものと見なされるというのが実体です。

 一方で非化石価値については、FITの賦課金の調整機関である低炭素投資促進機構(GIO)が買取事業者からの買取量の報告を受けて証書を発行します。その証書を非化石市場を通じて小売事業者に販売するという仕組みです。

証書の用途は3つ

 非化石証書の用途としては
1.CO2フリー電気、再エネ100%電気として販売する
2.小売事業者に販売して得た収入を賦課金削減の原資に充てる
3.高度化法の目標達成

が挙げられますが、実際に機能しているのは1くらいではないでしょうか。
例えば、イオンは関西電力の「再エネECOプラン」という非化石価値付電力を購入することで、再エネ100%を実現してる店舗もありますし、特にRE100を掲げている企業が最も利用しやすい形であると言えると思います。

 賦課金削減の原資に充てるという目的に関しては、下限価格(1.3円/kWh)がネックとなって賦課金を下げられるほどの収入には程遠いというのが現実のようです。
 高度化法の目標達成はまだ先の話ではあるものの、原子力への依存を前提としているため、これが現実的な目標なのかということは正直疑問が残ります。他の問題をはらんでいるにも関わらずCO2を排出しないというだけで他の再エネ等と同じ価値と見なしても良いのかということは議論の余地があると考えます。

 11月からは大型水力と原子力の取引が始まりますが、目標達成が現実的に不可能である制度が始まるような感覚すら覚えます。根本的な制度見直しが必要ではないでしょうか。



記:田中圭亮

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1586856213/hikaseki1_vnzzfz/hikaseki1_vnzzfz.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1586856213/hikaseki1_vnzzfz/hikaseki1_vnzzfz.jpg?_i=AAaltenergy個人噛み砕きシリーズ法人連載 では、どのように取引されているのかということについて説明します。例えば、太陽光発電設備を持つ「発電事業者」がFITを使って売電したとします。2020年度の産業用(50~250kW未満)であれば税抜12円/kWhで買取事業者(電力会社)が買い取ってくれますよね。買取事業者が買い取った電力は「電気(FIT)」の価値と「非化石価値(FIT)」に分けることができ、電気の価値はJEPXの卸電力市場を介して小売事業者に販売されます。 ちなみにこの電気は環境価値を切り離された電気となりますので、火力発電で作られた電気など(化石電源)と同質のものと見なされるというのが実体です。  一方で非化石価値については、FITの賦課金の調整機関である低炭素投資促進機構(GIO)が買取事業者からの買取量の報告を受けて証書を発行します。その証書を非化石市場を通じて小売事業者に販売するという仕組みです。 証書の用途は3つ  非化石証書の用途としては 1.CO2フリー電気、再エネ100%電気として販売する 2.小売事業者に販売して得た収入を賦課金削減の原資に充てる 3.高度化法の目標達成 が挙げられますが、実際に機能しているのは1くらいではないでしょうか。例えば、イオンは関西電力の「再エネECOプラン」という非化石価値付電力を購入することで、再エネ100%を実現してる店舗もありますし、特にRE100を掲げている企業が最も利用しやすい形であると言えると思います。  賦課金削減の原資に充てるという目的に関しては、下限価格(1.3円/kWh)がネックとなって賦課金を下げられるほどの収入には程遠いというのが現実のようです。 高度化法の目標達成はまだ先の話ではあるものの、原子力への依存を前提としているため、これが現実的な目標なのかということは正直疑問が残ります。他の問題をはらんでいるにも関わらずCO2を排出しないというだけで他の再エネ等と同じ価値と見なしても良いのかということは議論の余地があると考えます。  11月からは大型水力と原子力の取引が始まりますが、目標達成が現実的に不可能である制度が始まるような感覚すら覚えます。根本的な制度見直しが必要ではないでしょうか。 記:田中圭亮-再生可能エネルギーの総合情報サイト-