仮に、中部電力がそうした基本料金と電力量料金が他社と比較して安い、もしくは変わらない上に、燃料調整費を抑えることが出来ているとすれば、
それは発電・オペレーションコストを抑えた良い経営をされているということになるかもしれません。
 
 電力各社が独自に決めているものは基準燃料費だけではありません。
平均燃料単価を決める算定式においても、大きな違いが存在します。
主要なエネルギーである、原油・LNG・石炭のそれぞれの変動を原油換算する式ですが、各社の電源構成によって、それぞれの原料の変動がどの程度コストに跳ね返ってくるのかにも違いが出ます。
 
 それぞれの発電方式原油換算に置き換えた場合の発電効率に違いがあるということです。
平均的には、石炭のコスト変動が全体に影響する傾向が強いようですが、東京電力だけは石炭の係数が少なく設定されており、他社と比較して石炭発電の割合が少ないことが見て取れます。
 
 極端な例では北海電力はLNGの価格変動を念頭に入れず、石油と石炭のみを算定式に加えています。電源構成はガスが0になっており、これもその電源構成を裏付けています。
 
 上記に加えて、基準単価が各社で大分違いがあります。
 
北海道電力 19.3銭
東北電力  21.7銭
東京電力  22.0
中部電力  21.9銭
関西電力  15.6銭
中国電力  23.0
四国電力  18.5銭
九州電力  16.7銭
(高圧、税込
 
 これは、燃料費の変動1,000円あたりの単価変動の基準値です。燃料費の変動が実際の調整費にどの程度影響を与えるかになります。燃料の変動に大きく作用されない電源構成、もしくは経営をされているということなろうかと思います。電源全体に対する原子力発電や水力、これからは再生エネ等割合の大小も影響していることも容易に想像出来ます。
 
 ちなみに、各社の電源の構成は下記と発表されています(2017末時点)。
 

 

 意外にも石炭を燃料した発電が多いことがわかります。逆に同じ火力であっても石油の比率は少なくなっています
 2019年1月末現在、稼動している原発は上記にもある通り関西電力(大飯・高浜、四国電力(伊方)、九州電力玄海・川内9箇所のみです。全国に59箇所ありますから、その分石炭やLNGを原料にした火力発電を大幅に増やしていることになります。
 
 燃料費調整額はあくまでも単価の変動を調整するものなので、当然ながら使用量の変動を調整する機能はありません。原発停止により、火力発電での燃料の使用量が増えるということは、基本料金・電力量料金の部分で調整せざるを得ないのです。時代の流れから、また、安全管理を含めたコストの増大から、ここから稼動する原発が増えるとは思えない現状、今後各電力会社はそうした本丸に手を入れ続けざるを得ない状況に見えます。
 もしくは、再エネ賦課金のように、+αの要素として徴収をしてくるようになるかもしれませんね。
 
(記:齋藤康弘)
 
 

自家消費、ソーラーグリッドに関してはこちら

 
 
 
https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1549942627/8a253c772afa49a8171c94f412639f5c_s_f8s2io/8a253c772afa49a8171c94f412639f5c_s_f8s2io.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1549942627/8a253c772afa49a8171c94f412639f5c_s_f8s2io/8a253c772afa49a8171c94f412639f5c_s_f8s2io.jpg?_i=AAaltenergy法人自家消費   仮に、中部電力がそうした基本料金と電力量料金が他社と比較して安い、もしくは変わらない上に、燃料調整費を抑えることが出来ているとすれば、 それは発電・オペレーションコストを抑えた良い経営をされているということになるかもしれません。    電力各社が独自に決めているものは基準燃料費だけではありません。 ②平均燃料単価を決める算定式においても、大きな違いが存在します。 主要なエネルギーである、原油・LNG・石炭のそれぞれの変動を原油換算する式ですが、各社の電源構成によって、それぞれの原料の変動がどの程度コストに跳ね返ってくるのかにも違いが出ます。    それぞれの発電方式を原油換算に置き換えた場合の発電効率に違いがあるということです。 平均的には、石炭のコスト変動が全体に影響する傾向が強いようですが、東京電力だけは石炭の係数が少なく設定されており、他社と比較して石炭発電の割合が少ないことが見て取れます。    極端な例では北海道電力はLNGの価格変動を念頭に入れず、石油と石炭のみを算定式に加えています。電源構成はガスが0になっており、これもその電源構成を裏付けています。    上記に加えて、③基準単価が各社でも大分違いがあります。   北海道電力 19.3銭 東北電力  21.7銭 東京電力  22.0銭 中部電力  21.9銭 関西電力  15.6銭 中国電力  23.0銭 四国電力  18.5銭 九州電力  16.7銭 (高圧、税込)    これは、燃料費の変動1,000円あたりの単価変動の基準値です。燃料費の変動が実際の調整費にどの程度影響を与えるかになります。燃料の変動に大きく作用されない電源構成、もしくは経営をされているということになろうかと思います。電源全体に対する原子力発電や水力、これからは再生エネ等の割合の大小も影響していることも容易に想像出来ます。    ちなみに、各社の電源の構成は下記と発表されています(2017末時点)。      意外にも石炭を燃料とした発電が多いことがわかります。逆に同じ火力であっても石油の比率は少なくなっています。  2019年1月末現在、稼動している原発は上記にもある通り関西電力(大飯・高浜)、四国電力(伊方)、九州電力(玄海・川内)の9箇所のみです。全国に59箇所ありますから、その分石炭やLNGを原料にした火力発電を大幅に増やしていることになります。    燃料費調整額はあくまでも単価の変動を調整するものなので、当然ながら使用量の変動を調整する機能はありません。原発停止により、火力発電での燃料の使用量が増えるということは、基本料金・電力量料金の部分で調整せざるを得ないのです。時代の流れから、また、安全管理を含めたコストの増大から、ここから稼動する原発が増えるとは思えない現状、今後各電力会社はそうした「本丸」に手を入れ続けざるを得ない状況に見えます。  もしくは、再エネ賦課金のように、+αの要素として徴収をしてくるようになるかもしれませんね。   (記:齋藤康弘)     自家消費、ソーラーグリッドに関してはこちら      -再生可能エネルギーの総合情報サイト-