会社案内に自分のプロフィールが載っている。
今となっては何の意図かちゃんと考えないままの行為だったのだけれども、
自分の趣味が書いてある。

「ゴルフ」、「ツーリング」、「筋トレ」

って書いてあった。
書いたのは2014年ぐらいかな、

広義で言う本当の趣味に
「気が付いている人はほとんどいないかもしれない」とか
「言える人はあまり多くない」
とかとちょっと意味深なことを書いているものの、
その部分に触れるつもりはなく、
ここでは自分で記述可能な趣味に関してふと思ったことを書いてみる。

 

「ゴルフ」、「ツーリング」、「筋トレ」

 

2017年の現状をまずは報告すると、
最近加わった「妻と行く犬の散歩」
そして言い忘れていた「天体鑑賞」というのが抜けているだけで
もちろん上記3つの趣味は、現在も継続中である。

上記3つの趣味に関して、なんでそれが好きなのかということを考えてみた。

この辺りで、読み飽きられそうな予感がしつつも気にしないで書いてみると、
それぞれ「厳密には」という言葉が付いてくるのである。

「ゴルフ」は厳密には「ゴルフクラブの収集すること」が趣味で
「ツーリング」は厳密には「ちょっと危険かもしれないコーナリングを走ること」が趣味で
「筋トレ」は厳密には「限界の重さに挑戦すること」が趣味なのだ

ゴルフに関しては、スコアは少しは気にするものの、
物理学の集合体であるゴルフクラブの性能でどのような出玉が出るのかということに興味が集中し、
下手なりに滅多に出ない一打を追い求めているのである。

一方の「ツーリング」はどのようなバイクに乗るのかということにはあまり興味がなく、
44歳で初めて乗ったバイクで、コーナーを曲がるときに転ばない様に集中しなければならない
そしてイメージ通りに曲がれた時の感じが好きで、

「筋トレ」に関しては高重量を上げようとしたときに、
上がらない原因がメンタルにあるのか、筋細胞の破断にあるのか、そこを試すことが好きなのだ。

 

何が共通点なのかはわかっている。

 

思考の中断が出来るのか否かなのだ、仕事のことに関してずっと考えていると思考することが止まらなくて、
本当に眠れなくなることがしょっちゅうある。お酒を飲んでもそれは止まらないのだ、、、、

 

でも、上記3つの趣味はそういう意味では一瞬でも忘れることが出来るそんな共通点があるのだ。
だから、続けていられるんだとか、逆にやらなければならないんだという妻へ説明するにはもってこいの理屈を思いついたりする。
まあ趣味ってそんなものなのかもしれないのだけれど、、、

 

 

それはさておき、以前の職場の先輩である〇埼さんという方がいらっしゃるのですが、
昨年末ごろから何故かお会いする度に山への誘いを受ける様になった。

一緒にゴルフに行っているにも関わらずに山の魅力を語られ、
今までガラケーだった様な気がしたのだが、
きっとその為に購入して半年ぐらいと思われるスマホで撮った山頂からの景色の写真を見せられ
sancyo

 

 

「いいだろ、眞剛も一緒に行こうよ。」と誘われるのだ。

 

写真を見ながら「NHKの山の番組の4Kの方がいいなぁ」と思っていたことは、さすがに言えなかったのだが、
とある飲み会の時に尊敬する先輩は「高尾山どう?登らない?」と登山初心者にとってハードルが少しは下がりそうな
プランニングが具体的にあることを披露し女性も一緒だぜと言い出した。

 

「さすが、多面的に攻めるのがうまいなぁ」

 

と思いながら、マラソン等が大の苦手なことが頭をよぎり
「うーん」とか言いながら曖昧にしていたら
数日後には日付をFIXされてしまっていた。

 

「沈黙は同意なんだ、そういえば日程も言っていたな、、、」

 

彼のクロージング能力の高さに驚愕をし、断れないまま当日を迎えた。
いざ高尾山に行くと、女性の影はなく、代わりに〇澤さんという男の先輩がいた。
少しだけ驚いたが、今思うとこんな感じの印象だったのかもしれない。

そもそも、女性と一緒に山を登りたいという目的ではなかったのだが、
「女性が一緒」という表現が、先輩にとっては「体力的な負担はそんなに多くないよ」という気遣いの一つであり、
「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね。」と訳した夏目漱石に似たものを先輩から見つけたことにテンションが上がった。

 

私は日付をFIXしていただいた日から当日の朝までずっと考えていたことがある。

 

「なんで誘うんだろう?」

 

女性と一緒に行くことが目的ではない根拠をこのひとりごちるを見るかもしれない妻に対して
何らかの理論武装をしなくてはならないと思ったわけではない。

本当にそう思っていたのだ。

いろんな答えは想定できたのだが、山を登りながらまずは自分で探そうと思った。
高尾山とはいえ少しだけきつい坂を上りながら、ずっと考えていたのだが、全く楽しいと思わなかったし、山登りの楽しさの要素がわからなかった。
その先輩と一緒にいることが出来る喜びのようなものはあるが、それは山でなくてもよく、
傍らで〇埼さんが針葉樹と広葉樹の生えているエリアの違いとか、光の入り方とか話をしていただいたが全く頭に入ってこず、
2時間過ぎたころから自分で探すことをあきらめ、

 

「山登りは何が面白いんですか?」

「ところで僕をなんで誘おうと思うんですか?」

 

方針を変更し直接聞くことにした。

 

「登山の後のビールってうまいぜ!」

「一緒の方が楽しいだろ。」

 

ちょっと欲しい感じの回答ではなかった。

 

大変申し訳ないなと思いながらもビールがそんなに好きじゃない旨の話すると、
下山した後に行く予定であるレストランらしきところのハイボールの濃さに急遽話を変え、
「450円だぜ、コスパ最高だろ」と楽しそうに話をしていただいた。
私の「濃い目のハイボール好き」を知ってか知らずか、なんて機転が利いて、親切なんだろうと思った。

 

結局、最後に多少の達成感はあったものの、道中の多くは上り下りであり、ちょっと疲れ、特にワクワクすることもなく、
そのまま、相模湖の近くまで歩いた4時間半の行程は終了した。

 

「温泉も最高なんだ」とアフター登山の楽しさを伝えようとしてくれたものの、
1時間に1本しかないバスのスケジュールが合わず、
温泉は諦めて、そのまま相模湖駅の近くのレストランに行き、
おすすめの濃い目のハイボールを「確かに濃いな」と思いながら飲みながら、ふと気が付くのだ。

 

「忘れてる!!!」

 

仕事のことで頭が通常いっぱいで眠れないのに、登山の道中は「なんで歩いているんだろう」「何が面白いんだろう」
ということに集中し、仕事のことなんかまったく考えていなかったことに気が付いたのだ。

 

「まさか、、、」

 

視線を凝らすも、先輩はビールを飲み終えた後空腹を覚えたのか、
昭和っぽいナポリタンを食べながら、
「意外と旨いんだよな」と言っていた。

 

きっと「まさか」じゃない。

 

刹那的な忘却しか得られない趣味を察し、
4時間半という刹那とは言い難いほどの忘却の時間を与えようと思ってくれたことを確信した。

 

でなければ、自分がまるでピエロになったような演出で、あえて明確な答えを出さずにこの4時間半を導き続ける訳がない。
先輩にそんなことをさせてしまった後ろめたさと懐の深さに感謝と共に
「そんなに慌てる必要はない」と言われたような気がして少し気恥ずかしい思いがした。

coffe

その後、「身延山」にもお誘いいただき、今度は山頂で飲むコーヒーのおいしさを教えてもらった。

そして今私は、NHKの深夜の山の番組の再放送を見て、どんなリュックが必要なのかと思いを馳せているのである。

暖かくなったら、ゴルフかツーリングか迷うなって思いながら。

 

 

 

(記:髙橋眞剛)

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1487246142/pixta_takao2_M_sgbxfv/pixta_takao2_M_sgbxfv.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1487246142/pixta_takao2_M_sgbxfv/pixta_takao2_M_sgbxfv.jpg?_i=AAaltenergyひとりごちる連載ecology会社案内に自分のプロフィールが載っている。 今となっては何の意図かちゃんと考えないままの行為だったのだけれども、 自分の趣味が書いてある。 「ゴルフ」、「ツーリング」、「筋トレ」 って書いてあった。 書いたのは2014年ぐらいかな、 広義で言う本当の趣味に 「気が付いている人はほとんどいないかもしれない」とか 「言える人はあまり多くない」 とかとちょっと意味深なことを書いているものの、 その部分に触れるつもりはなく、 ここでは自分で記述可能な趣味に関してふと思ったことを書いてみる。   「ゴルフ」、「ツーリング」、「筋トレ」   2017年の現状をまずは報告すると、 最近加わった「妻と行く犬の散歩」 そして言い忘れていた「天体鑑賞」というのが抜けているだけで もちろん上記3つの趣味は、現在も継続中である。 上記3つの趣味に関して、なんでそれが好きなのかということを考えてみた。 この辺りで、読み飽きられそうな予感がしつつも気にしないで書いてみると、 それぞれ「厳密には」という言葉が付いてくるのである。 「ゴルフ」は厳密には「ゴルフクラブの収集すること」が趣味で 「ツーリング」は厳密には「ちょっと危険かもしれないコーナリングを走ること」が趣味で 「筋トレ」は厳密には「限界の重さに挑戦すること」が趣味なのだ ゴルフに関しては、スコアは少しは気にするものの、 物理学の集合体であるゴルフクラブの性能でどのような出玉が出るのかということに興味が集中し、 下手なりに滅多に出ない一打を追い求めているのである。 一方の「ツーリング」はどのようなバイクに乗るのかということにはあまり興味がなく、 44歳で初めて乗ったバイクで、コーナーを曲がるときに転ばない様に集中しなければならない そしてイメージ通りに曲がれた時の感じが好きで、 「筋トレ」に関しては高重量を上げようとしたときに、 上がらない原因がメンタルにあるのか、筋細胞の破断にあるのか、そこを試すことが好きなのだ。   何が共通点なのかはわかっている。   思考の中断が出来るのか否かなのだ、仕事のことに関してずっと考えていると思考することが止まらなくて、 本当に眠れなくなることがしょっちゅうある。お酒を飲んでもそれは止まらないのだ、、、、   でも、上記3つの趣味はそういう意味では一瞬でも忘れることが出来るそんな共通点があるのだ。 だから、続けていられるんだとか、逆にやらなければならないんだという妻へ説明するにはもってこいの理屈を思いついたりする。 まあ趣味ってそんなものなのかもしれないのだけれど、、、     それはさておき、以前の職場の先輩である〇埼さんという方がいらっしゃるのですが、 昨年末ごろから何故かお会いする度に山への誘いを受ける様になった。 一緒にゴルフに行っているにも関わらずに山の魅力を語られ、 今までガラケーだった様な気がしたのだが、 きっとその為に購入して半年ぐらいと思われるスマホで撮った山頂からの景色の写真を見せられ     「いいだろ、眞剛も一緒に行こうよ。」と誘われるのだ。   写真を見ながら「NHKの山の番組の4Kの方がいいなぁ」と思っていたことは、さすがに言えなかったのだが、 とある飲み会の時に尊敬する先輩は「高尾山どう?登らない?」と登山初心者にとってハードルが少しは下がりそうな プランニングが具体的にあることを披露し女性も一緒だぜと言い出した。   「さすが、多面的に攻めるのがうまいなぁ」   と思いながら、マラソン等が大の苦手なことが頭をよぎり 「うーん」とか言いながら曖昧にしていたら 数日後には日付をFIXされてしまっていた。   「沈黙は同意なんだ、そういえば日程も言っていたな、、、」   彼のクロージング能力の高さに驚愕をし、断れないまま当日を迎えた。 いざ高尾山に行くと、女性の影はなく、代わりに〇澤さんという男の先輩がいた。 少しだけ驚いたが、今思うとこんな感じの印象だったのかもしれない。 そもそも、女性と一緒に山を登りたいという目的ではなかったのだが、 「女性が一緒」という表現が、先輩にとっては「体力的な負担はそんなに多くないよ」という気遣いの一つであり、 「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね。」と訳した夏目漱石に似たものを先輩から見つけたことにテンションが上がった。   私は日付をFIXしていただいた日から当日の朝までずっと考えていたことがある。   「なんで誘うんだろう?」   女性と一緒に行くことが目的ではない根拠をこのひとりごちるを見るかもしれない妻に対して 何らかの理論武装をしなくてはならないと思ったわけではない。 本当にそう思っていたのだ。 いろんな答えは想定できたのだが、山を登りながらまずは自分で探そうと思った。 高尾山とはいえ少しだけきつい坂を上りながら、ずっと考えていたのだが、全く楽しいと思わなかったし、山登りの楽しさの要素がわからなかった。 その先輩と一緒にいることが出来る喜びのようなものはあるが、それは山でなくてもよく、 傍らで〇埼さんが針葉樹と広葉樹の生えているエリアの違いとか、光の入り方とか話をしていただいたが全く頭に入ってこず、 2時間過ぎたころから自分で探すことをあきらめ、   「山登りは何が面白いんですか?」 「ところで僕をなんで誘おうと思うんですか?」   方針を変更し直接聞くことにした。   「登山の後のビールってうまいぜ!」 「一緒の方が楽しいだろ。」   ちょっと欲しい感じの回答ではなかった。   大変申し訳ないなと思いながらもビールがそんなに好きじゃない旨の話すると、 下山した後に行く予定であるレストランらしきところのハイボールの濃さに急遽話を変え、 「450円だぜ、コスパ最高だろ」と楽しそうに話をしていただいた。 私の「濃い目のハイボール好き」を知ってか知らずか、なんて機転が利いて、親切なんだろうと思った。   結局、最後に多少の達成感はあったものの、道中の多くは上り下りであり、ちょっと疲れ、特にワクワクすることもなく、 そのまま、相模湖の近くまで歩いた4時間半の行程は終了した。   「温泉も最高なんだ」とアフター登山の楽しさを伝えようとしてくれたものの、 1時間に1本しかないバスのスケジュールが合わず、 温泉は諦めて、そのまま相模湖駅の近くのレストランに行き、 おすすめの濃い目のハイボールを「確かに濃いな」と思いながら飲みながら、ふと気が付くのだ。   「忘れてる!!!」   仕事のことで頭が通常いっぱいで眠れないのに、登山の道中は「なんで歩いているんだろう」「何が面白いんだろう」 ということに集中し、仕事のことなんかまったく考えていなかったことに気が付いたのだ。   「まさか、、、」   視線を凝らすも、先輩はビールを飲み終えた後空腹を覚えたのか、 昭和っぽいナポリタンを食べながら、 「意外と旨いんだよな」と言っていた。   きっと「まさか」じゃない。   刹那的な忘却しか得られない趣味を察し、 4時間半という刹那とは言い難いほどの忘却の時間を与えようと思ってくれたことを確信した。   でなければ、自分がまるでピエロになったような演出で、あえて明確な答えを出さずにこの4時間半を導き続ける訳がない。 先輩にそんなことをさせてしまった後ろめたさと懐の深さに感謝と共に 「そんなに慌てる必要はない」と言われたような気がして少し気恥ずかしい思いがした。 その後、「身延山」にもお誘いいただき、今度は山頂で飲むコーヒーのおいしさを教えてもらった。 そして今私は、NHKの深夜の山の番組の再放送を見て、どんなリュックが必要なのかと思いを馳せているのである。 暖かくなったら、ゴルフかツーリングか迷うなって思いながら。       (記:髙橋眞剛)-再生可能エネルギーの総合情報サイト-