【何故、北面に太陽光発電を設置しないのか?】

太陽光発電をどの方角に向けるかと聞かれれば、北半球で生活する人々にとっては『南面に向ける』という考え方が常識であり定説とされている。
更に細かく言えば『北緯35度なら35度の傾斜角を有していた方が良いが、風の影響や架台コスト等のバランスを取って10~20度がベスト?』等々の検討が
太陽光発電業界においてはされ続けて来た経緯があり、そもそも北面に向けて太陽光発電を設置するという行為そのものは考えて来られなかった。

その答えを導くネガティブな要因としては、

①一部の太陽電池メーカーでは北面に設置する事を禁止している

②北面に設置した事による反射光に関連した訴訟事件が発生した

③発電量が南面に向けて設置するよりも50%以上低下すると予測されている

 

といった事実が考えられる。

 

①に関しては10年保証を出すか否かの問題で、メーカーによっては設置する方角については任意としているメーカーも多数存在しており、
特に海外の太陽電池メーカーはほぼ北面に設置する事について言及はされていません。

 

②に関しては過去に、北面方向に太陽電池を設置したユーザー及びその販売店を被告とし、その反射光を苦に近隣に居住する住民が原告として訴えた事件がありました。
2014年4月18日の横浜地裁の判決は、反射光が『受忍限度を超えている』として原告の訴えを認容し、太陽光発電設備の撤去と22万円の損害賠償を命じましたが、
2015年3月13日の東京高裁の判決で『ただちに受忍限度を超えていると認める事はできない』と、原告の請求を棄却し、逆転の判決に至りました。

以上より、北面に設置する事を懸念する要素について、①および②については今や制約条件にはなり得ず、問題は③の発電量における効果が、
実用に足るのかという要素のみではないかと考えます。

 

【北面に太陽光発電を設置した可能性は?】

それでは北面に太陽電池パネルを向けた場合に、おいて本当に発電量が期待できないのか?

太陽電池パネルを『南面に向ける』、『緯度に角度を合わせる』等という事情は、直達日射量を意識した考え方である。

太陽光エネルギーの総数を表す数値に太陽定数という数値があり、これは太陽の黒点の位置関係によっても周期的に変動しているが、
概ね1350~1360W/㎡程度とされている。

直達日射量とは、その太陽定数の割合のうち約70%を占めているエネルギーで、これは実質的に太陽光線が地表面に届くまでの大気中で拡散するエネルギー、
地表や周辺の物体表面から反射するエネルギー、そして方位に関わらず平等に照らされる天空日射量という要素を無視した考え方に立脚しています。

 

また太陽光発電は400~500nm付近のスペクトル領域という短波長の可視光線において、最も効率良く発電する。
これは光のスペクトルの中でも短波長領域のエネルギーが高く、その高いエネルギーが電気に変換される。
色で表現すると紫~青緑で表現される可視光線領域で、400nm以下は紫外線となる。

そして短波長の光線はエネルギーが高い分、空気中拡散しやすい性質を帯びています。

以上の図より、実は太陽光エネルギーは直達日射以外の方向からも光エネルギーを吸収できるという可能性をみすみす捨てて来たのではないか?

そんな疑問が残ります。

 

更に北面には日光が当たらないという認識があるように思われがちですが、
実は春分~秋分に至っては日照時間は一定時間発生しており、
夏至では南面よりも北西及び北東面においては夏至の南面よりも日射量は多いという観測がなされています。

graph2

(東京都内北緯35度)

 

 

以上の事実から、今まで設置を敬遠され続けてきた北面に向けて太陽電池パネルを設置するという考え方は、
限りあるスペースを有効活用する上で一定の効果が見込めるのではないか。
また、条件によっては実用に足る効果が期待できるのではないかという仮説の下、弊社ではその実証を行うに至りました。

 

つづく

 

(記:杉村健吾)

http://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/v1491983191/solution_lasekisai_d8i5ra_lkrnfj.pnghttp://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/c_crop,h_210,w_210,x_55,y_0/h_150,w_150/v1491983191/solution_lasekisai_d8i5ra_lkrnfj.pngeneleaks創る【何故、北面に太陽光発電を設置しないのか?】 太陽光発電をどの方角に向けるかと聞かれれば、北半球で生活する人々にとっては『南面に向ける』という考え方が常識であり定説とされている。 更に細かく言えば『北緯35度なら35度の傾斜角を有していた方が良いが、風の影響や架台コスト等のバランスを取って10~20度がベスト?』等々の検討が 太陽光発電業界においてはされ続けて来た経緯があり、そもそも北面に向けて太陽光発電を設置するという行為そのものは考えて来られなかった。 その答えを導くネガティブな要因としては、 ①一部の太陽電池メーカーでは北面に設置する事を禁止している ②北面に設置した事による反射光に関連した訴訟事件が発生した ③発電量が南面に向けて設置するよりも50%以上低下すると予測されている   といった事実が考えられる。   ①に関しては10年保証を出すか否かの問題で、メーカーによっては設置する方角については任意としているメーカーも多数存在しており、 特に海外の太陽電池メーカーはほぼ北面に設置する事について言及はされていません。   ②に関しては過去に、北面方向に太陽電池を設置したユーザー及びその販売店を被告とし、その反射光を苦に近隣に居住する住民が原告として訴えた事件がありました。 2014年4月18日の横浜地裁の判決は、反射光が『受忍限度を超えている』として原告の訴えを認容し、太陽光発電設備の撤去と22万円の損害賠償を命じましたが、 2015年3月13日の東京高裁の判決で『ただちに受忍限度を超えていると認める事はできない』と、原告の請求を棄却し、逆転の判決に至りました。 以上より、北面に設置する事を懸念する要素について、①および②については今や制約条件にはなり得ず、問題は③の発電量における効果が、 実用に足るのかという要素のみではないかと考えます。   【北面に太陽光発電を設置した可能性は?】 それでは北面に太陽電池パネルを向けた場合に、おいて本当に発電量が期待できないのか? 太陽電池パネルを『南面に向ける』、『緯度に角度を合わせる』等という事情は、直達日射量を意識した考え方である。 太陽光エネルギーの総数を表す数値に太陽定数という数値があり、これは太陽の黒点の位置関係によっても周期的に変動しているが、 概ね1350~1360W/㎡程度とされている。 直達日射量とは、その太陽定数の割合のうち約70%を占めているエネルギーで、これは実質的に太陽光線が地表面に届くまでの大気中で拡散するエネルギー、 地表や周辺の物体表面から反射するエネルギー、そして方位に関わらず平等に照らされる天空日射量という要素を無視した考え方に立脚しています。   また太陽光発電は400~500nm付近のスペクトル領域という短波長の可視光線において、最も効率良く発電する。 これは光のスペクトルの中でも短波長領域のエネルギーが高く、その高いエネルギーが電気に変換される。 色で表現すると紫~青緑で表現される可視光線領域で、400nm以下は紫外線となる。 そして短波長の光線はエネルギーが高い分、空気中拡散しやすい性質を帯びています。 以上の図より、実は太陽光エネルギーは直達日射以外の方向からも光エネルギーを吸収できるという可能性をみすみす捨てて来たのではないか? そんな疑問が残ります。   更に北面には日光が当たらないという認識があるように思われがちですが、 実は春分~秋分に至っては日照時間は一定時間発生しており、 夏至では南面よりも北西及び北東面においては夏至の南面よりも日射量は多いという観測がなされています。 (東京都内北緯35度)     以上の事実から、今まで設置を敬遠され続けてきた北面に向けて太陽電池パネルを設置するという考え方は、 限りあるスペースを有効活用する上で一定の効果が見込めるのではないか。 また、条件によっては実用に足る効果が期待できるのではないかという仮説の下、弊社ではその実証を行うに至りました。   つづく   (記:杉村健吾)-再生可能エネルギーの総合情報サイト-

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