太陽光発電システムを検討している人の約半分が「設置後の発電量」に対して不安を感じたという調査データがあります。
導入前の提案時には、いわゆる「収支シミュレーション」を私たちもご案内させていただきますが、
当然シミュレーションはシミュレーションであって、その発電量をお約束するものではありません。

中には「発電保証(補償)」なるサービスを差別化として打ち出していた企業もあると聞いたことがありますが、
天候の保証なんて出来るわけありません。
損失した分を補償するなぁんてサービスはユーザーにとってみれば嬉しい限りですが、
販売者からするとデメリット以外の何者でもないのです。長くは続きませんね。

さて、今回のテーマは「出力保証」ですので、メーカーが定めた期間内に出力低下が見られた場合の補償ということになります。
ここで注意しなければならないのが、仮に出力低下が見られるとなった場合、どのメーカーがどこまで責任を持ってくれるか?ということです。

 

よくあるフローとしては、

 

①発電量モニターや検針票、またはパワーコンディショナのエラー表示などでお客様が発電量の低下に疑いをもつ

②販売店に電話で相談をする

③電話口で対応が出来る場合はその場で解決、出来ない場合は…

 

さてここからが問題です。
電話で解決しない場合、実際に現場に訪問して調査をするわけなのですが、

 

点検を誰が行うのか?
無償なのか有償なのか?

がメーカーによって変わります。

 

「え?全部無償じゃないの?」と思われるかもしれません。

 

正解は「メーカーによる」のです。

 

「マジか?聞いてないぞ!?」と思われるかもしれません。

 

私たち販売店でさえ、事が起こってからその実態に気付いたぐらいです。
そして、これは業界の悪しき慣習とも思いますが、「言わなくても良いことは言わない」のです。
だからこそ、このエネリークスの存在意義があるというものです。

さて、ではどのメーカーがどんな対応をしてくれるのか、気になりますよね?
下の図は、あるメーカーの保証書の裏面に書かれている「修理規定」です。
トリナ無償修理規定
トリナ無償修理規定2
2つ目にはこう書かれています。

 

「「据付工事は本書の対象外です。」と。

 

「え?じゃあ何を補償してくれるの?」

 

機器代の補償です。
出力保証とは、定格出力に対して経年劣化による出力減少が一定の割合を超えた場合にそのパネルを新しいパネルで補償する、ということです。
例えば出荷当時、250Wの出力のパネル(最適な条件下において1時間当たり250Wh発電する)が
1年後に1時間当たり同条件で230Whしか発電しない(8%の低下)となった場合、
調査の結果その原因がパネルであると判明した場合、新しいものをメーカーがくれるわけです。

 

ここでひとつ疑問が生じます。

何を以って「8%の低下」と決定付けるのか?

実は日射量で変化するのは電流です。電圧はあまり変動しないため、パネルや直列につないだアレイの電圧を測定して異常を見るという方法が一般的です。
電圧が他のパネルやアレイと比較して低い場合は、異常があると判断できるわけです。

 

さて話を戻し、結論を申し上げたいと思います!(電話で主要メーカーに確認しました)

 

 

 

《ヒアリングしたメーカー》

パナソニック、東芝、カナディアンソーラー、トリナソーラー、長州産業、ソーラーフロンティア、三菱電機

《結果》

①一次対応(訪問調査):異常発生時の現場確認は販売店または施工店が行う

⇒有償か無償かは販売店・施工店次第

②二次対応(交換):交換は販売店または施工店が行う

⇒有償か無償かは販売店次第だが、多くの場合は足場代等を含めて有償対応となる

なぜなら、基本的に工事にかかる負担についてはメーカーは責任を負わないため

 

この中で、ソーラーフロンティアと長州産業は、メーカーによる瑕疵であると判明した場合に限り、
販売店または施工店はその費用をメーカーに請求することが出来るため、お客様の負担なしで済む可能性があります。

 

また唯一、三菱電機に関しては上記の①一次対応、②二次対応ともに三菱電機システムサービスという別会社が対応してくれ、
メーカーによる瑕疵であると判断された場合、足場代等含めてメーカーが負担してくれるそうです。

メーカー瑕疵でない場合は、対応を依頼した人への請求となります。
(お客様から直接システムサービスに問合せた場合はお客様負担、販売店から依頼した場合は販売店負担)。
保証書を見るとそこまでは詳しく書いていませんね。
(保証書には「据付工事は本書の対象外」という表記があるだけです)
三菱電機保証書

こうして比較してみると、国内メーカーの中でもその販売シェアの中で中堅を担うメーカーの保証の手厚さが垣間見えます。
国産メーカーだからと言って必ずしも保証内容が同じわけではないのでご注意下さい。

ひとつ言えることはどのメーカーに関してもメーカーに瑕疵があるかないかの判断が重要なポイントになります。
瑕疵があるかどうかを判断するのは一般の方では難しいかもしれません。
保証を申請するにも直接メーカーとやり取りするのは大変です。
そう言った意味では、間に入ってくれる販売店(施工店)の存在は大きいのではないかと思います。

現在この業界では

「太陽光孤児」

という言葉が密かに拡がりつつあります。
どういう意味かという、契約した太陽光発電の販売店や太陽光発電の施工店が倒産してしまい、
メンテナンスやその後のアフターフォローをしてくれる会社が無くなってしまった
太陽光発電の設置者のことを指しています。

購入する際には経済的なメリットや価格と言った事柄に目が行きがちですが、
太陽光発電は長い期間に渡って利用するものなので、
購入する販売店や施工店選びがより重要になってくるのではないでしょうか。

pixta_17311663_M

 

※あくまでも現時点での内容です。保証の内容は変更される場合もありますので、その点はご了承下さいね。

 

 

ではでは。

 

(記:田中圭亮)

 

 

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https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1478848421/pixta_19478790_M_cwcykr/pixta_19478790_M_cwcykr.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1478848421/pixta_19478790_M_cwcykr/pixta_19478790_M_cwcykr.jpg?_i=AAaltenergy保守simplelay太陽光発電システムを検討している人の約半分が「設置後の発電量」に対して不安を感じたという調査データがあります。 導入前の提案時には、いわゆる「収支シミュレーション」を私たちもご案内させていただきますが、 当然シミュレーションはシミュレーションであって、その発電量をお約束するものではありません。 中には「発電保証(補償)」なるサービスを差別化として打ち出していた企業もあると聞いたことがありますが、 天候の保証なんて出来るわけありません。 損失した分を補償するなぁんてサービスはユーザーにとってみれば嬉しい限りですが、 販売者からするとデメリット以外の何者でもないのです。長くは続きませんね。 さて、今回のテーマは「出力保証」ですので、メーカーが定めた期間内に出力低下が見られた場合の補償ということになります。 ここで注意しなければならないのが、仮に出力低下が見られるとなった場合、どのメーカーがどこまで責任を持ってくれるか?ということです。   よくあるフローとしては、   ①発電量モニターや検針票、またはパワーコンディショナのエラー表示などでお客様が発電量の低下に疑いをもつ ②販売店に電話で相談をする ③電話口で対応が出来る場合はその場で解決、出来ない場合は…   さてここからが問題です。 電話で解決しない場合、実際に現場に訪問して調査をするわけなのですが、   点検を誰が行うのか? 無償なのか有償なのか? がメーカーによって変わります。   「え?全部無償じゃないの?」と思われるかもしれません。   正解は「メーカーによる」のです。   「マジか?聞いてないぞ!?」と思われるかもしれません。   私たち販売店でさえ、事が起こってからその実態に気付いたぐらいです。 そして、これは業界の悪しき慣習とも思いますが、「言わなくても良いことは言わない」のです。 だからこそ、このエネリークスの存在意義があるというものです。 さて、ではどのメーカーがどんな対応をしてくれるのか、気になりますよね? 下の図は、あるメーカーの保証書の裏面に書かれている「修理規定」です。 2つ目にはこう書かれています。   「「据付工事は本書の対象外です。」と。   「え?じゃあ何を補償してくれるの?」   機器代の補償です。 出力保証とは、定格出力に対して経年劣化による出力減少が一定の割合を超えた場合にそのパネルを新しいパネルで補償する、ということです。 例えば出荷当時、250Wの出力のパネル(最適な条件下において1時間当たり250Wh発電する)が 1年後に1時間当たり同条件で230Whしか発電しない(8%の低下)となった場合、 調査の結果その原因がパネルであると判明した場合、新しいものをメーカーがくれるわけです。   ここでひとつ疑問が生じます。 何を以って「8%の低下」と決定付けるのか? 実は日射量で変化するのは電流です。電圧はあまり変動しないため、パネルや直列につないだアレイの電圧を測定して異常を見るという方法が一般的です。 電圧が他のパネルやアレイと比較して低い場合は、異常があると判断できるわけです。   さて話を戻し、結論を申し上げたいと思います!(電話で主要メーカーに確認しました)       《ヒアリングしたメーカー》 パナソニック、東芝、カナディアンソーラー、トリナソーラー、長州産業、ソーラーフロンティア、三菱電機 《結果》 ①一次対応(訪問調査):異常発生時の現場確認は販売店または施工店が行う ⇒有償か無償かは販売店・施工店次第 ②二次対応(交換):交換は販売店または施工店が行う ⇒有償か無償かは販売店次第だが、多くの場合は足場代等を含めて有償対応となる なぜなら、基本的に工事にかかる負担についてはメーカーは責任を負わないため   この中で、ソーラーフロンティアと長州産業は、メーカーによる瑕疵であると判明した場合に限り、 販売店または施工店はその費用をメーカーに請求することが出来るため、お客様の負担なしで済む可能性があります。   また唯一、三菱電機に関しては上記の①一次対応、②二次対応ともに三菱電機システムサービスという別会社が対応してくれ、 メーカーによる瑕疵であると判断された場合、足場代等含めてメーカーが負担してくれるそうです。 メーカー瑕疵でない場合は、対応を依頼した人への請求となります。 (お客様から直接システムサービスに問合せた場合はお客様負担、販売店から依頼した場合は販売店負担)。 保証書を見るとそこまでは詳しく書いていませんね。 (保証書には「据付工事は本書の対象外」という表記があるだけです) こうして比較してみると、国内メーカーの中でもその販売シェアの中で中堅を担うメーカーの保証の手厚さが垣間見えます。 国産メーカーだからと言って必ずしも保証内容が同じわけではないのでご注意下さい。 ひとつ言えることはどのメーカーに関してもメーカーに瑕疵があるかないかの判断が重要なポイントになります。 瑕疵があるかどうかを判断するのは一般の方では難しいかもしれません。 保証を申請するにも直接メーカーとやり取りするのは大変です。 そう言った意味では、間に入ってくれる販売店(施工店)の存在は大きいのではないかと思います。 現在この業界では 「太陽光孤児」 という言葉が密かに拡がりつつあります。 どういう意味かという、契約した太陽光発電の販売店や太陽光発電の施工店が倒産してしまい、 メンテナンスやその後のアフターフォローをしてくれる会社が無くなってしまった 太陽光発電の設置者のことを指しています。 購入する際には経済的なメリットや価格と言った事柄に目が行きがちですが、 太陽光発電は長い期間に渡って利用するものなので、 購入する販売店や施工店選びがより重要になってくるのではないでしょうか。   ※あくまでも現時点での内容です。保証の内容は変更される場合もありますので、その点はご了承下さいね。     ではでは。   (記:田中圭亮)    -再生可能エネルギーの総合情報サイト-