【オフグリッド生活の楽しみ-第13話】7年目の3.11がまたやって来た
そもそも、耐震が十分にできていれば、
地震後に制御棒を挿入して発電の停止後、徐々に冷却が可能である。
事実、福島第一以外の原発で3.11の地震で何とか放射能汚染が起きずに済んだのは、
震度5、6の揺れにとどまり、機器を動かして冷却ができたからである。
爆発が起きた1号機、3号機、そして爆発は無くとも放射能放出が最大の2号機は、
これらの冷却機器が地震や津波によって使用ができなくなってメルトダウンに到っている。
番組で、最も重要な耐震強化の話が出てこなかったのはおかしな話である。
近い将来、確実に起きる各地の大地震で、国内の原発が3.11の震度6を超え、
震度7に襲われることは私には自明のことと思える。
テレビのCMで一般住宅でも、震度7に耐えられる設計であることを売りにしている時代だ。
原発は一般住宅より弱い構造物であることをこのCMは示している。
いくら津波対策をしたところで、耐震が不足していれば無駄である。
原子炉などの重要機器の耐震は昨今、1000ガルから1700ガルにまで上がって来ているが、
冷却機器など周辺機器はどうなっているか心もとない。複雑な機構の原発で、
すべての機器に後付けの耐震補強を施すことは事実上不可能である。
理論上可能と思われるのは、建屋すべてを免震構造にする、ということくらいであるが、
既存原発への適用はまず無理であるし、新規建設の場合でもそのコストは莫大である。
今回の現地レポートは柏崎刈羽原発で免振重要棟すら作らない東電の地震対策放棄のストーリーに
乗せられた耐震抜きの「安全対策」番組になっていた。
6800億円もの消費者による電力料金を使った安全対策には耐震が抜け落ちているのだ。
こんな状態で、東京電力技術者は、地震多発地帯の新潟でよく稼働しようという気になるものだ。
それとも、最早、理屈の分かるエンジニアは社内に居ないのだろうか?
一方、再生可能エネルギーに舵を切ったドイツなどの例も引き合いに出されていたが、
既に電力の35%が再生可能エネルギー由来とのことだ。それに引き換え日本はお粗末。
水力を入れてもその半分以下。政府が脱原発、再生可能エネルギーへのシフトを決めないから、
いつまでも危険な原発と温室効果ガス排出の火力発電から脱却できないでいる。
21世紀になってから18年も経つのにいまだに20世紀型発電に固執している。
我が家は、そんな国のエネルギー政策に嫌気がさし、オフグリッドを目指し、
不足分はバイオ発電主体の新電力パルシステムでんきへ移行した。
しかし世間では、せっかくの新電力も再生エネルギー由来の電力会社へ移行するのではなく、
単に値段の安い新電力への移行が喧伝されている。
テレビの宣伝でも以前の「環境に優しい」新電力と謳うよりは、「価格が安い」ことを売りにし始めた。
そうなると結局、既設の原発を安全性無視のままもったいないからと、無理やり動かす方向へと行きかねない。
値段が安いことをウリにする新電力は原発再稼働を促すことになりかねないということを懸念している。
「安さ」だけでなく「環境に優しい」をウリにした新電力が増えて欲しいものだ。
(記:小野 令)
*******************************記者紹介************************************
元構造解析技術者。地震大国日本で、原発再稼働に対して異議を唱える。
25年前から埼玉県ときがわ町をフィールドとした月イチ林業隊にて間伐、下草刈り活動を継続中。
定年後、多摩市グリーンボランティアに参加。DIY好き。
現在はフレンドツリーサポーターズの副代表を務める。年間50日程、山仕事に従事している。
https://eneleaks.com/?p=26632https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1521419483/47b9130f820fe022c1d0acd0774c939c_s_srf6n4/47b9130f820fe022c1d0acd0774c939c_s_srf6n4.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1521419483/47b9130f820fe022c1d0acd0774c939c_s_srf6n4/47b9130f820fe022c1d0acd0774c939c_s_srf6n4.jpg?_i=AAオフグリット生活個人蓄電連載offgridhouse そもそも、耐震が十分にできていれば、 地震後に制御棒を挿入して発電の停止後、徐々に冷却が可能である。 事実、福島第一以外の原発で3.11の地震で何とか放射能汚染が起きずに済んだのは、 震度5、6の揺れにとどまり、機器を動かして冷却ができたからである。 爆発が起きた1号機、3号機、そして爆発は無くとも放射能放出が最大の2号機は、 これらの冷却機器が地震や津波によって使用ができなくなってメルトダウンに到っている。 番組で、最も重要な耐震強化の話が出てこなかったのはおかしな話である。 近い将来、確実に起きる各地の大地震で、国内の原発が3.11の震度6を超え、 震度7に襲われることは私には自明のことと思える。 テレビのCMで一般住宅でも、震度7に耐えられる設計であることを売りにしている時代だ。 原発は一般住宅より弱い構造物であることをこのCMは示している。 いくら津波対策をしたところで、耐震が不足していれば無駄である。 原子炉などの重要機器の耐震は昨今、1000ガルから1700ガルにまで上がって来ているが、 冷却機器など周辺機器はどうなっているか心もとない。複雑な機構の原発で、 すべての機器に後付けの耐震補強を施すことは事実上不可能である。 理論上可能と思われるのは、建屋すべてを免震構造にする、ということくらいであるが、 既存原発への適用はまず無理であるし、新規建設の場合でもそのコストは莫大である。 今回の現地レポートは柏崎刈羽原発で免振重要棟すら作らない東電の地震対策放棄のストーリーに 乗せられた耐震抜きの「安全対策」番組になっていた。 6800億円もの消費者による電力料金を使った安全対策には耐震が抜け落ちているのだ。 こんな状態で、東京電力技術者は、地震多発地帯の新潟でよく稼働しようという気になるものだ。 それとも、最早、理屈の分かるエンジニアは社内に居ないのだろうか? 一方、再生可能エネルギーに舵を切ったドイツなどの例も引き合いに出されていたが、 既に電力の35%が再生可能エネルギー由来とのことだ。それに引き換え日本はお粗末。 水力を入れてもその半分以下。政府が脱原発、再生可能エネルギーへのシフトを決めないから、 いつまでも危険な原発と温室効果ガス排出の火力発電から脱却できないでいる。 21世紀になってから18年も経つのにいまだに20世紀型発電に固執している。 我が家は、そんな国のエネルギー政策に嫌気がさし、オフグリッドを目指し、 不足分はバイオ発電主体の新電力パルシステムでんきへ移行した。 しかし世間では、せっかくの新電力も再生エネルギー由来の電力会社へ移行するのではなく、 単に値段の安い新電力への移行が喧伝されている。 テレビの宣伝でも以前の「環境に優しい」新電力と謳うよりは、「価格が安い」ことを売りにし始めた。 そうなると結局、既設の原発を安全性無視のままもったいないからと、無理やり動かす方向へと行きかねない。 値段が安いことをウリにする新電力は原発再稼働を促すことになりかねないということを懸念している。 「安さ」だけでなく「環境に優しい」をウリにした新電力が増えて欲しいものだ。 (記:小野 令) *******************************記者紹介************************************ 元構造解析技術者。地震大国日本で、原発再稼働に対して異議を唱える。 25年前から埼玉県ときがわ町をフィールドとした月イチ林業隊にて間伐、下草刈り活動を継続中。 定年後、多摩市グリーンボランティアに参加。DIY好き。 現在はフレンドツリーサポーターズの副代表を務める。年間50日程、山仕事に従事している。 altenergy suzuki@seven.ne.jpAdministratorEneLeaks(エネリークス)