見解書にはこのような文章があります。

「スネイルトレイルについての特徴として下記の様に認識されています

外力によるセルのマイクロクラックによりできた、フィンガー電極の変色(セルの変色ではない)
●必ず発電低下を引き起こす現象ではありません
●発生原因は何らかの過程における外力によるものと推測され、その後、外的応力が及ばなければ 出力の低下は認められません

スネイルトレイル現象は外観的な変色であり、モジュールの機能性に影響を与える瑕疵ではございま せん。」

 

スネイルトレイル発生のメカニズムは色々と言われていて原因は正確には解明されていませんが、

「マイクロクラック」と「パネル内に進入した水分による銀粒子の酸化」という考え方が一般的だと言われています。

 

気になったのが、見解書にあるマイクロクラックを発生させた外力です。いったい外力とは何なんでしょう?

 

早速メーカーに質問してみました。

メーカーの回答は、

「出荷時にマイクロクラックの検査を行っているので出荷以降の外力が原因」との前置きした上で、

 

考えられる原因は次の3つだそうです。

①運搬時の振動

②荷降ろし時の衝撃

③施工時にパネルに乗る

 

どうも解せません。

と、いう事はこういう事になります。

①今回のような産業用案件の場合、パネルを含む機器類はメーカー出荷からの現地引き渡しとなります。

 運搬時の振動に関して責任を負うのは、運送人責任があるメーカーなのでは?

 

②今回、ユニック(クレーン付トラック)による納品となっており、受け渡し方法はいわゆる軒下渡しです。

 メーカー手配のドライバーが、荷物を降ろして、受渡し完了となります。

 荷降ろし時の衝撃は運送人にあたるメーカーの責任なのでは?

 

③今回の野立て案件、2段の架台で組まれています。

 施工風景も見ていますが、パネルに乗って作業などする事は考えられない。

 

おかしいですね。

それでもメーカーは保証書に記載してある通り「外観的な変色」は瑕疵ではないと言い張ります。

結局、このスネイルトレイル、メーカーと争っても勝てないと言われていますが、なんか納得いきません。

 

今後、発電低下を招く事が証明できなければ訴訟に勝てないそうです。

メガソーラーに発生した「スネイルトレイル」で海外メーカーと裁判をしているEPC事業者もいるみたいですが、どうなるでしょうか。

 

海外から運んでくる安いシリコン製パネルに多いトラブルと思われていた、この「スネイルトレイル」ですが、

SF社のCISなどにも発生しているようで、メーカーや製造国、材質を問わず発生するようです。

 

また、スネイルトレイルは大幅な出力低下を招く事はないと、メーカーは言いますが、

20年間という長い売電期間でどんなトラブルが起きるかは誰も分からないと言うのが本当のところだと思います。

 

後で泣かないためにも次の事は必ず行っておきましょう。

・納品時の商品状態は開梱してきちんと確認する。できれば写真などで記録しておく。

・どのような工事をしているか確認しておく。※パネルに乗っていないか。

・定期的にパネルの状態を確認する。※スネイルトレイルは急に出現する事もある

 

パネルの状況を定期的に確認する事はとても重要だと思いますが、遠方などでなかなか行けないという方はメンテナンスも含めて

専門の業者に依頼するのが良いでしょう。

 

(記:高橋 努)

 

https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1497851898/IMGP8358_R_q0t1ye_itat1j/IMGP8358_R_q0t1ye_itat1j.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1497851898/IMGP8358_R_q0t1ye_itat1j/IMGP8358_R_q0t1ye_itat1j.jpg?_i=AAaltenergy保守実録シリーズ連載costdown見解書にはこのような文章があります。 「スネイルトレイルについての特徴として下記の様に認識されています ●外力によるセルのマイクロクラックによりできた、フィンガー電極の変色(セルの変色ではない) ●必ず発電低下を引き起こす現象ではありません ●発生原因は何らかの過程における外力によるものと推測され、その後、外的応力が及ばなければ 出力の低下は認められません スネイルトレイル現象は外観的な変色であり、モジュールの機能性に影響を与える瑕疵ではございま せん。」   スネイルトレイル発生のメカニズムは色々と言われていて原因は正確には解明されていませんが、 「マイクロクラック」と「パネル内に進入した水分による銀粒子の酸化」という考え方が一般的だと言われています。   気になったのが、見解書にあるマイクロクラックを発生させた外力です。いったい外力とは何なんでしょう?   早速メーカーに質問してみました。 メーカーの回答は、 「出荷時にマイクロクラックの検査を行っているので出荷以降の外力が原因」との前置きした上で、   考えられる原因は次の3つだそうです。 ①運搬時の振動 ②荷降ろし時の衝撃 ③施工時にパネルに乗る   どうも解せません。 と、いう事はこういう事になります。 ①今回のような産業用案件の場合、パネルを含む機器類はメーカー出荷からの現地引き渡しとなります。  運搬時の振動に関して責任を負うのは、運送人責任があるメーカーなのでは?   ②今回、ユニック(クレーン付トラック)による納品となっており、受け渡し方法はいわゆる軒下渡しです。  メーカー手配のドライバーが、荷物を降ろして、受渡し完了となります。  荷降ろし時の衝撃は運送人にあたるメーカーの責任なのでは?   ③今回の野立て案件、2段の架台で組まれています。  施工風景も見ていますが、パネルに乗って作業などする事は考えられない。   おかしいですね。 それでもメーカーは保証書に記載してある通り「外観的な変色」は瑕疵ではないと言い張ります。 結局、このスネイルトレイル、メーカーと争っても勝てないと言われていますが、なんか納得いきません。   今後、発電低下を招く事が証明できなければ訴訟に勝てないそうです。 メガソーラーに発生した「スネイルトレイル」で海外メーカーと裁判をしているEPC事業者もいるみたいですが、どうなるでしょうか。   海外から運んでくる安いシリコン製パネルに多いトラブルと思われていた、この「スネイルトレイル」ですが、 SF社のCISなどにも発生しているようで、メーカーや製造国、材質を問わず発生するようです。   また、スネイルトレイルは大幅な出力低下を招く事はないと、メーカーは言いますが、 20年間という長い売電期間でどんなトラブルが起きるかは誰も分からないと言うのが本当のところだと思います。   後で泣かないためにも次の事は必ず行っておきましょう。 ・納品時の商品状態は開梱してきちんと確認する。できれば写真などで記録しておく。 ・どのような工事をしているか確認しておく。※パネルに乗っていないか。 ・定期的にパネルの状態を確認する。※スネイルトレイルは急に出現する事もある   パネルの状況を定期的に確認する事はとても重要だと思いますが、遠方などでなかなか行けないという方はメンテナンスも含めて 専門の業者に依頼するのが良いでしょう。   (記:高橋 努)  -再生可能エネルギーの総合情報サイト-