NECの7.8kWh蓄電池のカタログを見てみます。定格蓄電容量7.8kWh、実効蓄電容量6.62kWh、期待寿命5,500サイクルという掲載があります。

蓄電池1

<出典:NECのHPより>

7.8kWhの容量に対して使用できるのは6.62kWhなので放電深度は約85%ということになります。ちなみにこのデータは「法人向け」カタログからの抜粋です。
住宅用のカタログには京セラのカタログよりも更に小さい字で「実際に使用できる電力量は、6.62kWh(除くPCS効率)」という記載があります。

 

寿命については、25℃の環境下において放電深度100%で5,500サイクル、50%以上を保証するという内容です。ん?でも待って下さい。
実効容量は85%なので実際は100%放電できないではないですか!これが言葉のトリックですね。
つまり7.8kWhの100%ではなく、6.62kWhの100%ということです。この考え方については、京セラの担当の方も「正確に言えばその通り」と仰っておりました。
危うく騙されるところでした。

 

電話で聞いたところによると、NECでは1日1サイクルの充放電を最大としてシミュレーションしているそうです。つまり、5,500サイクル÷365日=15年ですので、
最長15年保証としているようです。
しかし、標準的についてくるのは10年保証となります。有償で数万円払うことで15年に延長出来ます。だとすると、実際は5,500サイクル(15年)以上使える、
と想定しているにも関わらず、更なる「安心」を訴求して15年保証を販売する、というメーカーの考えが見受けられます。
「15年保証を打ち出しているのは現在NECのみであることを訴求してください」という、担当者の売り込みに対して、
個人的には有償で15年保証にせずとも十分ではないか?という見解ですが、あまり否定をしてしまうと売ってもらえなくなるのでやめておきます。

蓄電池5
<出典:東芝のHPより>

 

最後に、東芝エネグーンを見てみましょう。「10,000回の充放電後でも、約90%の容量を維持」と書かれています。単純に10,000回という数字に踊らされてはいけません。
某比較サイトが危険と断言した理由はここにあります。このデータは放電深度を何%で計算しているのでしょうか?

もうお分かりだと思いますが、100%で試算しているのか、50%で試算しているのか、によってこのサイクル数は大きく異なってきます。
2016年8月版のカタログデータによると…「SOCレンジ100%」と書かれています。

もう少し調べてみると、東芝の場合は急速充電をウリにしており、1日2サイクルで試算しているようです。そうすると、単純計算13.5年は持つだろうという結果で、
メーカーで保証しているのは10年間で60%までの容量です。京セラほどではないですが、やはり安全を見ているようです。

 

もはや気分的にアラ探しになっている…では、定格容量に対して実効容量はどうでしょうか?カタログの表記を見てみますと「電気機器は実際に使用できる電力量は、
電力変換損失(定格出力時は約6%)分だけ少なくなります。」という表記であり、京セラ・NECのそれとは表記が異なっています。
電力変換ということは蓄電池本体にDC/ACコンバーターのようなものが内蔵されており、その変換の際のロスということが予測できます。

蓄電池2

<出典:東芝のHPより>

分からない時は作った人に聞く、ということで電話してみました。

担当の方の話ですと、この電力変換損失6%とは予想通り直流→交流への変換の際のロスということでした。つまり約6.95kWhになるということです。
しかし、放電深度100%というのがにわかに信じがたかったため、聞いてみました。

「他社の蓄電池は定格容量のうち、例えば20%は残しておかなければ劣化を速める原因となりますが、
当社のエネグーンはSOCレンジ100%の文字通り100%放電してしまっても
適正なコントロールにより他社のように急速な劣化が起こりにくい、という設計となっています。」

なるほど、どうやら10,000サイクルという数字に踊らされても大丈夫なようです。

ついでに保証年数について聞いてみました。10,000サイクルとか15,000サイクルを謳っているにも関わらず、保証期間が10年である理由については
「急速充電など、使い方によって当然頻度等が変わるため製品寿命は10年としている」ということでした。
むぅぅぅぅぅぅ。京セラ、NECと比較すると頭一つ飛び抜けている感覚です。

 

 

それでは、ここまでの調査結果をまとめてみます。

メーカー 京セラ NEC 東芝
定格容量 7.2kWh 7.8kWh 7.4kWh
実効容量(※) 5.76kWh 5.76kWh 7.4kWh
放電深度 80% 84.9% 100%
電力変換効率 94% 94% 94%
実質容量 5.41kWh 6.22kWh 6.96kWh
サイクル数 6,000サイクル 5,500サイクル 15,000サイクル
製品想定寿命 10年 10年(最長15年) 10年
本体価格(税抜) 2,400,000円 オープン価格 2,970,000円
備考 10年後に50%以上を保証
1日1サイクルを想定した保証年数
10年後に55%以上
15年後に50%以上を保証
1日1サイクルを想定した保証年数
10年間で90%以上を保証
1日2サイクル(10年目まで)
1日3サイクル(15年目まで)を想定

※パワーコンディショナの変換による電力ロス除く

 

そして、当初のお題である『ELI:エネリークスインデックス』についてですが、下記のように算出してみました。

蓄電池4

こうやって見ると、東芝のエネグーンが圧倒的に性能とコストパフォーマンスが高く、価格に見合った性能を備えているということが言えます。
京セラとNECについてはやや京セラに軍配が上がったようです。
NECはカタログ上はオープン価格となっていますが、とある情報筋によると定価は一応存在しており2,600,000円ということでした。

7.8kWhを謳っているNECとしては残念な結果になってしまいましたが、これが一つの事実です。
とは言え、NECの蓄電池がダメだと言っているわけではありません。
京セラや東芝がまだ打ち出してはいない見守り24時間クラウドサービスを展開していたり、15年の延長保証を出したり、サービスの面で差別化を図っていますので。
何を基準に選択するにせよ、もっと価格が安くなって欲しいというのが満場一致の意見ではないでしょうか。

今後のリチウムイオン電池の動向が気になりますね。ではでは。

 

(記:田中圭亮)

http://res.cloudinary.com/hcjrza45j/image/upload/v1478840887/332942_ntrvmn_do2amn.jpghttp://res.cloudinary.com/hcjrza45j/image/upload/c_crop,h_800,w_800,x_0,y_0/h_150,w_150/v1478840887/332942_ntrvmn_do2amn.jpgaltenergy貯める  NECの7.8kWh蓄電池のカタログを見てみます。定格蓄電容量7.8kWh、実効蓄電容量6.62kWh、期待寿命5,500サイクルという掲載があります。 <出典:NECのHPより> 7.8kWhの容量に対して使用できるのは6.62kWhなので放電深度は約85%ということになります。ちなみにこのデータは「法人向け」カタログからの抜粋です。 住宅用のカタログには京セラのカタログよりも更に小さい字で「実際に使用できる電力量は、6.62kWh(除くPCS効率)」という記載があります。   寿命については、25℃の環境下において放電深度100%で5,500サイクル、50%以上を保証するという内容です。ん?でも待って下さい。 実効容量は85%なので実際は100%放電できないではないですか!これが言葉のトリックですね。 つまり7.8kWhの100%ではなく、6.62kWhの100%ということです。この考え方については、京セラの担当の方も「正確に言えばその通り」と仰っておりました。 危うく騙されるところでした。   電話で聞いたところによると、NECでは1日1サイクルの充放電を最大としてシミュレーションしているそうです。つまり、5,500サイクル÷365日=15年ですので、 最長15年保証としているようです。 しかし、標準的についてくるのは10年保証となります。有償で数万円払うことで15年に延長出来ます。だとすると、実際は5,500サイクル(15年)以上使える、 と想定しているにも関わらず、更なる「安心」を訴求して15年保証を販売する、というメーカーの考えが見受けられます。 「15年保証を打ち出しているのは現在NECのみであることを訴求してください」という、担当者の売り込みに対して、 個人的には有償で15年保証にせずとも十分ではないか?という見解ですが、あまり否定をしてしまうと売ってもらえなくなるのでやめておきます。 <出典:東芝のHPより>   最後に、東芝エネグーンを見てみましょう。「10,000回の充放電後でも、約90%の容量を維持」と書かれています。単純に10,000回という数字に踊らされてはいけません。 某比較サイトが危険と断言した理由はここにあります。このデータは放電深度を何%で計算しているのでしょうか? もうお分かりだと思いますが、100%で試算しているのか、50%で試算しているのか、によってこのサイクル数は大きく異なってきます。 2016年8月版のカタログデータによると…「SOCレンジ100%」と書かれています。 もう少し調べてみると、東芝の場合は急速充電をウリにしており、1日2サイクルで試算しているようです。そうすると、単純計算13.5年は持つだろうという結果で、 メーカーで保証しているのは10年間で60%までの容量です。京セラほどではないですが、やはり安全を見ているようです。   もはや気分的にアラ探しになっている…では、定格容量に対して実効容量はどうでしょうか?カタログの表記を見てみますと「電気機器は実際に使用できる電力量は、 電力変換損失(定格出力時は約6%)分だけ少なくなります。」という表記であり、京セラ・NECのそれとは表記が異なっています。 電力変換ということは蓄電池本体にDC/ACコンバーターのようなものが内蔵されており、その変換の際のロスということが予測できます。 <出典:東芝のHPより> 分からない時は作った人に聞く、ということで電話してみました。 担当の方の話ですと、この電力変換損失6%とは予想通り直流→交流への変換の際のロスということでした。つまり約6.95kWhになるということです。 しかし、放電深度100%というのがにわかに信じがたかったため、聞いてみました。 「他社の蓄電池は定格容量のうち、例えば20%は残しておかなければ劣化を速める原因となりますが、 当社のエネグーンはSOCレンジ100%の文字通り100%放電してしまっても 適正なコントロールにより他社のように急速な劣化が起こりにくい、という設計となっています。」 なるほど、どうやら10,000サイクルという数字に踊らされても大丈夫なようです。 ついでに保証年数について聞いてみました。10,000サイクルとか15,000サイクルを謳っているにも関わらず、保証期間が10年である理由については 「急速充電など、使い方によって当然頻度等が変わるため製品寿命は10年としている」ということでした。 むぅぅぅぅぅぅ。京セラ、NECと比較すると頭一つ飛び抜けている感覚です。     それでは、ここまでの調査結果をまとめてみます。 メーカー 京セラ NEC 東芝 定格容量 7.2kWh 7.8kWh 7.4kWh 実効容量(※) 5.76kWh 5.76kWh 7.4kWh 放電深度 80% 84.9% 100% 電力変換効率 94% 94% 94% 実質容量 5.41kWh 6.22kWh 6.96kWh サイクル数 6,000サイクル 5,500サイクル 15,000サイクル 製品想定寿命 10年 10年(最長15年) 10年 本体価格(税抜) 2,400,000円 オープン価格 2,970,000円 備考 10年後に50%以上を保証 1日1サイクルを想定した保証年数 10年後に55%以上 15年後に50%以上を保証 1日1サイクルを想定した保証年数 10年間で90%以上を保証 1日2サイクル(10年目まで) 1日3サイクル(15年目まで)を想定 ※パワーコンディショナの変換による電力ロス除く   そして、当初のお題である『ELI:エネリークスインデックス』についてですが、下記のように算出してみました。 こうやって見ると、東芝のエネグーンが圧倒的に性能とコストパフォーマンスが高く、価格に見合った性能を備えているということが言えます。 京セラとNECについてはやや京セラに軍配が上がったようです。 NECはカタログ上はオープン価格となっていますが、とある情報筋によると定価は一応存在しており2,600,000円ということでした。 7.8kWhを謳っているNECとしては残念な結果になってしまいましたが、これが一つの事実です。 とは言え、NECの蓄電池がダメだと言っているわけではありません。 京セラや東芝がまだ打ち出してはいない見守り24時間クラウドサービスを展開していたり、15年の延長保証を出したり、サービスの面で差別化を図っていますので。 何を基準に選択するにせよ、もっと価格が安くなって欲しいというのが満場一致の意見ではないでしょうか。 今後のリチウムイオン電池の動向が気になりますね。ではでは。   (記:田中圭亮)-再生可能エネルギーの総合情報サイト-
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