ちなみに、先のグラフの電流:Current(A)が充電の電流値で、急速充電のように10Aの高い電流で入れると、
早く59.5Vに達しますが、1,500Whしか溜まりません。
一方で2Aでゆっくり充電すると、2,500Wh入ります。同じバッテリーでも、1,000Whも容量が変わってしまうのです。
 
更に、温度によって、この溜まる容量が変わります。リチウムイオン電池などは高温に弱いので、
暑い場所に置いておくと容量が落ちます。上の図のナトリウムバッテリーは、逆に低温が苦手です。
80%までは早く溜まりますが、100%まではなかなか到達しません。
 
 
今、何パーセントあるのかは、単純に電圧:Vの値を見れば良いのでわかりやすいですね。
ところが、何Wh使えるのか、あるいは何時間使えるというかになると把握が難しいのは、充電推移が曲線である上に、
どれくらいの電流で充電されたか、どれくらいの温度で充電されたかは一度電池に入れてしまうとわからないからです。
容量がわからないのです。充電の途中で充電器を付け替えて、電流値が変わることもあります。
厳密に必ず同じ条件で充放電するか、使用開始日のときから充電中の条件を細かく記録しておけば可能かもしれませんが。
 
 
もちろん、放電、すなわち電池の使用推移も、曲線です。
 
 
 
残容量が何時間かという表示の難しさがわかるでしょうか。
もちろん、使う電流値Current(A)によって持ちが違いますし、苦手な温度で使うと容量は下がります。
常に一定の電流値で放電するのなら、温度も測って、この容量のときはあと何時間、というのがわかりそうですが、
そもそもどういう条件で充電されたのかを把握していないと100%の時の容量Whがわかりません。
 
更に、ご承知の通り、使えば使うほど劣化します。使わずに放置していても劣化します。
劣化しても充電すれば100%という表示にはなりますよね。100%時の電圧Vは変わらないのですが、
放電推移の曲線が縮んでしまうために容量が減るイメージです。
 
弊社オルテナジーのIoT担当も、電流、電圧、チャージャーとインバーターのステータス、温度などを計測し、
残容量を時間表示をするスマホアプリを作ったことがあるのですが、正確な時間は出せませんでした。
充電と放電の電流値によって残時間が変わってしまうことの説明に、
現在の電流値の大小を信号のようなアイコンで添えても、電流値で容量が変わるという知識が必要になるので
一般に優しくないですね。急速充電器など使えば赤いアイコンになり、ユーザーを不安にさせるインターフェースです。
(これだからSEは……)
 
この先、バッテリーの残容量を、正確に時間で表示できるバッテリーやBMS(バッテリーマネジメントシステム)が
登場することはあるのでしょうか。
 
 
(記:大橋矩美子)
 
 
 
 
 
 
https://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1533620164/f51addfc9de758dc337566fc0eeeee5a_m_hy6gyz/f51addfc9de758dc337566fc0eeeee5a_m_hy6gyz.jpg?_i=AAhttps://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/images/f_auto,q_auto/v1533620164/f51addfc9de758dc337566fc0eeeee5a_m_hy6gyz/f51addfc9de758dc337566fc0eeeee5a_m_hy6gyz.jpg?_i=AAaltenergy蓄電bizbattery    ちなみに、先のグラフの電流:Current(A)が充電の電流値で、急速充電のように10Aの高い電流で入れると、 早く59.5Vに達しますが、1,500Whしか溜まりません。 一方で2Aでゆっくり充電すると、2,500Wh入ります。同じバッテリーでも、1,000Whも容量が変わってしまうのです。   更に、温度によって、この溜まる容量が変わります。リチウムイオン電池などは高温に弱いので、 暑い場所に置いておくと容量が落ちます。上の図のナトリウムバッテリーは、逆に低温が苦手です。 80%までは早く溜まりますが、100%まではなかなか到達しません。     今、何パーセントあるのかは、単純に電圧:Vの値を見れば良いのでわかりやすいですね。 ところが、何Wh使えるのか、あるいは何時間使えるというかになると把握が難しいのは、充電推移が曲線である上に、 どれくらいの電流で充電されたか、どれくらいの温度で充電されたかは一度電池に入れてしまうとわからないからです。 容量がわからないのです。充電の途中で充電器を付け替えて、電流値が変わることもあります。 厳密に必ず同じ条件で充放電するか、使用開始日のときから充電中の条件を細かく記録しておけば可能かもしれませんが。     もちろん、放電、すなわち電池の使用推移も、曲線です。       残容量が何時間かという表示の難しさがわかるでしょうか。 もちろん、使う電流値Current(A)によって持ちが違いますし、苦手な温度で使うと容量は下がります。 常に一定の電流値で放電するのなら、温度も測って、この容量のときはあと何時間、というのがわかりそうですが、 そもそもどういう条件で充電されたのかを把握していないと100%の時の容量(Wh)がわかりません。   更に、ご承知の通り、使えば使うほど劣化します。使わずに放置していても劣化します。 劣化しても充電すれば100%という表示にはなりますよね。100%の時の電圧Vは変わらないのですが、 放電推移の曲線が縮んでしまうために容量が減るイメージです。   弊社オルテナジーのIoT担当も、電流、電圧、チャージャーとインバーターのステータス、温度などを計測し、 残容量を時間で表示をするスマホアプリを作ったことがあるのですが、正確な時間は出せませんでした。 充電と放電の電流値によって残時間が変わってしまうことの説明に、 現在の電流値の大小を信号のようなアイコンで添えても、電流値で容量が変わるという知識が必要になるので 一般に優しくないですね。急速充電器など使えば赤いアイコンになり、ユーザーを不安にさせるインターフェースです。 (これだからSEは……)   この先、バッテリーの残容量を、正確に時間で表示できるバッテリーやBMS(バッテリーマネジメントシステム)が 登場することはあるのでしょうか。     (記:大橋矩美子)            -再生可能エネルギーの総合情報サイト-