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しかしひなたは先ほどの黒いもやについての説明を先に始める。
「今、化石燃料の取り出しすぎで、地球の奥から変なものがでてきちゃってるんだよね。急に空気が悪くなることってない?」
「あんまり意識したことないけど、あるかもしれない」
「それが、フォッシルズって呼んでるもの。見える人には、さっきみたいに黒く見える」
少し空気が悪くなるだけで、耐えていればフォッシルズは四散して大気に溶けていくが、先ほどのように息苦しさをもたらす危険なものもある。それも待てば薄まって大気に混ざるが、人間が暮らす空気に良いはずがない。進む一方の温暖化を増進させるとも言われている。
太陽光発電であるひなたは、フォッシルズに汚染される大気をただ見過ごしていたわけではないが、一人でできることはほとんどなかった。
「フォッシルズを唯一消せることがわかっているのが、郁実君が手に入れたOrganicBerry Pi。正確には、その大きなLEDみたいなのに含まれるBerryって物質なんだけど。古くなった太陽光パネルとか、役割を終えた再生可能エネルギーの発電システムから、私のような姿と心を持った再生可能エネルギーが作った結晶体」
「俺、Blueberry Piが欲しかったんだけどなあ……」
「OrganicBerry Piのおかげで郁実君と話せるようになったから、私は嬉しかったんだけど」
「それはそれ、これはこれっていうか……」
ひなたと会えたことが嬉しいのかはわからないが、無闇に他人を敵に回したくないという理由からではなく、関わった人を傷付けたくないという道徳心は郁実にもある。そして、ひなたは笑顔の方が良いと思った。
「それに、振り込んだお金は戻ってるよ」
「ほんと?」
すぐさま財布を開くと、Blueberry Piを購入したはずの紙幣と小銭が増えていた。これで許す気持ちになるのは、現金だけにあまりに現金ではないかと思ったが、小遣いで購入したものなので安堵したことは間違いはない。
OrganicBerry Piを手に取って眺めていると、うさおが覗き込んできた。
「オーガニックベリーのパイって、とってもおいしそう」
じゅるりと食い意地の張った音を立てる。耳がピンと立っている。
「残念ながら食べられないけど、プラスチックとか、環境に配慮した素材ではできてるよ」
「はたけにうめると、つちになるの?」
うさおがOrganicBerry Piを撫でる。
郁実はプラスチックについての、父親から聞いた話を思い出した。
「バイオプラスチックは、分解のための特別な環境を作らないと分解しないから、イメージほどエコじゃないって聞いたことある」
「だめなのかあ……」
がっかりしているので、郁実はうさおの後頭部を撫でた。柔らかい毛並みが気持ちよくて、しばらく撫で続けた。犬や猫を飼う人の気持ちが少しわかる。
「うふふふふ」
人懐っこいのか、うさおも嬉しそうに撫でられている。
「うさおは、ひなたさんのペット?」
「なんでひなたちゃんにだけ『さん』をつけるの?」
「……うさおさん」
「よしよし。いくみくんは、ぼくのおともだちです」
郁実にうさぎの友達ができた。
「まんぷくうさおさんは、私も友達。私の姿が見えたから、話しかけてくれたんだ」
「動物にはひなたさんが見えてるの?」
「野生のタヌキなんかには見えるみたい。飼い犬や猫は色々。自然の生き物に近ければ見えるんじゃないかなあ」
郁実は二本脚で立ち、野菜を手で掴み、人間の言葉を喋るうさぎをじっと見た。自然の生き物とは何かは、考える余地がありそうだ。
「うさおはちょっとした隙間からおうちに入れるから、窓を中から開けてもらえるように頼んだんだ」
先にうさおが現れた経緯をひなたが説明した。
「玄関も窓も閉まってたはずだけど……」
「隙間だよ、隙間。アライグマやイタチやハクビシンみたいにね」
ひなたは陽気に、住宅街を騒がせる害獣を例に挙げた。言われてみると、勝手に野菜やパンを食べてしまうのだから、害獣なのかもしれない。
「悪かったなって思うけど、郁実君が全然話を聞いてくれないんだもん。そうしたらフォッシルズが出て来ちゃったし」
OrganicBerry PiのLEDを使えば、フォッシルズを消せることは、すでに実践で教わっている。

 

(記:o-qoo)

 

 

 

 

 

 

再生可能ノベル 柴崎町4丁目の日常-1

安心して使える お得な新電力(PPS)の間違えない選び方

 

 

http://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/v1524451614/nvl04_2_heart_small_igpfjy.pnghttp://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/c_crop,h_220,w_220,x_5,y_0/h_150,w_150/v1524451614/nvl04_2_heart_small_igpfjy.pngaltenergy連載ecology                      しかしひなたは先ほどの黒いもやについての説明を先に始める。 「今、化石燃料の取り出しすぎで、地球の奥から変なものがでてきちゃってるんだよね。急に空気が悪くなることってない?」 「あんまり意識したことないけど、あるかもしれない」 「それが、フォッシルズって呼んでるもの。見える人には、さっきみたいに黒く見える」 少し空気が悪くなるだけで、耐えていればフォッシルズは四散して大気に溶けていくが、先ほどのように息苦しさをもたらす危険なものもある。それも待てば薄まって大気に混ざるが、人間が暮らす空気に良いはずがない。進む一方の温暖化を増進させるとも言われている。 太陽光発電であるひなたは、フォッシルズに汚染される大気をただ見過ごしていたわけではないが、一人でできることはほとんどなかった。 「フォッシルズを唯一消せることがわかっているのが、郁実君が手に入れたOrganicBerry Pi。正確には、その大きなLEDみたいなのに含まれるBerryって物質なんだけど。古くなった太陽光パネルとか、役割を終えた再生可能エネルギーの発電システムから、私のような姿と心を持った再生可能エネルギーが作った結晶体」 「俺、Blueberry Piが欲しかったんだけどなあ……」 「OrganicBerry Piのおかげで郁実君と話せるようになったから、私は嬉しかったんだけど」 「それはそれ、これはこれっていうか……」 ひなたと会えたことが嬉しいのかはわからないが、無闇に他人を敵に回したくないという理由からではなく、関わった人を傷付けたくないという道徳心は郁実にもある。そして、ひなたは笑顔の方が良いと思った。 「それに、振り込んだお金は戻ってるよ」 「ほんと?」 すぐさま財布を開くと、Blueberry Piを購入したはずの紙幣と小銭が増えていた。これで許す気持ちになるのは、現金だけにあまりに現金ではないかと思ったが、小遣いで購入したものなので安堵したことは間違いはない。 OrganicBerry Piを手に取って眺めていると、うさおが覗き込んできた。 「オーガニックベリーのパイって、とってもおいしそう」 じゅるりと食い意地の張った音を立てる。耳がピンと立っている。 「残念ながら食べられないけど、プラスチックとか、環境に配慮した素材ではできてるよ」 「はたけにうめると、つちになるの?」 うさおがOrganicBerry Piを撫でる。 郁実はプラスチックについての、父親から聞いた話を思い出した。 「バイオプラスチックは、分解のための特別な環境を作らないと分解しないから、イメージほどエコじゃないって聞いたことある」 「だめなのかあ……」 がっかりしているので、郁実はうさおの後頭部を撫でた。柔らかい毛並みが気持ちよくて、しばらく撫で続けた。犬や猫を飼う人の気持ちが少しわかる。 「うふふふふ」 人懐っこいのか、うさおも嬉しそうに撫でられている。 「うさおは、ひなたさんのペット?」 「なんでひなたちゃんにだけ『さん』をつけるの?」 「……うさおさん」 「よしよし。いくみくんは、ぼくのおともだちです」 郁実にうさぎの友達ができた。 「まんぷくうさおさんは、私も友達。私の姿が見えたから、話しかけてくれたんだ」 「動物にはひなたさんが見えてるの?」 「野生のタヌキなんかには見えるみたい。飼い犬や猫は色々。自然の生き物に近ければ見えるんじゃないかなあ」 郁実は二本脚で立ち、野菜を手で掴み、人間の言葉を喋るうさぎをじっと見た。自然の生き物とは何かは、考える余地がありそうだ。 「うさおはちょっとした隙間からおうちに入れるから、窓を中から開けてもらえるように頼んだんだ」 先にうさおが現れた経緯をひなたが説明した。 「玄関も窓も閉まってたはずだけど……」 「隙間だよ、隙間。アライグマやイタチやハクビシンみたいにね」 ひなたは陽気に、住宅街を騒がせる害獣を例に挙げた。言われてみると、勝手に野菜やパンを食べてしまうのだから、害獣なのかもしれない。 「悪かったなって思うけど、郁実君が全然話を聞いてくれないんだもん。そうしたらフォッシルズが出て来ちゃったし」 OrganicBerry PiのLEDを使えば、フォッシルズを消せることは、すでに実践で教わっている。   (記:o-qoo)                -再生可能エネルギーの総合情報サイト-
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