「蓄電池」と言われてパッと思いつくのは、自動車にも使われている鉛バッテリーや、スマホ・PC・EVなどに使われているリチウムイオン電池など、
私たちの生活に身近な存在があると思います。

それ以外にも、例えば超大型と言われている「レドックスフロー」や「NaS」と言った二次電池を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに「二次電池」とは繰り返し使うこと(充放電)ができる電池の総称で、一度使ったらもう使えなくなる乾電池など(放電のみ)は「一次電池」と呼ばれています。

ナス?何それ?って思う方もいらっしゃると思いますが、それはまた別の機会にということで、今回は最近事故の話も多いリチウムイオン電池について、
どんな種類・特徴があって、どのような用途に使われているのか?ということにフォーカスしてみたく思います。

リチウムイオン電池は、正極・負極・電解質にそれぞれ何が使われているかによって大きく8種類に分類することができます。

 

①コバルト系(正極)
正極にコバルト酸リチウム(LiCoO2)を使用している電池で、1991年に世界で最初に商品化された最もスタンダードなリチウムイオン電池です。
しかしながら、原材料であるコバルトが高価であり、熱暴走の危険があることからモバイル機器を中心に使用されています。
※熱暴走とは、簡単にいうと電池の回路がショートした時に大量の電流が流れることによって発熱が止まらなくなる状態のことで、その状態で空気と触れると爆発という惨事につながります。

 

②ニッケル系(正極)
ニッケル酸リチウム(LiNiO2)を正極に使用している電池で、安全性に問題があるために実用化は難しいとされています。このニッケル系の派生系に後で登場するNCA系があります。

 

③マンガン系(正極)
マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極材料に使用している電池で、マンガン自体が強固な結晶構造を持ち(熱安定性が高い)、また原材料も安価(コバルトの約1/10)ということから、主に車載用途として使われています。

 

④リン酸鉄系(正極)
リン酸鉄系(LiFePO4)を正極材に使用している電池であり、リン(P)と酸素(O)の結びつきが強く、電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくいために熱暴走が起こりにくく、
安全性が高い電池と言われています。加えて、鉄の原材料価格はマンガンよりさらに安価で、マンガンの数分の一程度と言われていますが、製造コストが高く、原材料メリットを活かしにくいという指摘もあります。
採用メーカーに中国系が多いのは、原材料コストメリットを活かせる可能性があるからでしょうか。

 

⑤NCA系(正極)
NCAとは、ニッケル、コバルト、アルミニウムの3つの頭文字を取った化合物系の電池です。ニッケル系の課題であった安全性という点を克服して、プリウスPHVにも使用されています。

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⑥三元系(正極)
三元系(NMC)とは、ニッケル、マンガン、コバルトの3つの頭文字を取った化合物系の電池です。
コバルト系よりも安全性を高め、車載向けに改良されたものとなります。ホンダPHV向けに供給されていたりします。

 

⑦チタン酸系(負極)
通常、リチウムイオン電池は負極に黒鉛(LiC6)を使用しますが、東芝が製造しているSCiB™は負極材にチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)を使用しています。正極にはマンガン系を使用しているようです。

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⑧リチウムポリマー(電解質)
一般的にリチウムイオン電池は電解質に有機溶媒(炭素が含まれているので燃える)を使用しています。
この電解質にポリマーを加えてゲル化したものをリチウムポリマー電池と言います。ポリマーはゲル状なので液漏れはしませんが、引火しないわけではありません。
形状が比較的自由なため、携帯電話やスマホ、タブレット、デジタルカメラなどに幅広く使用されています。

 

ひとくちにリチウムイオン電池と言ってもいろいろあるものですね。

最後に、家庭用蓄電池システムについて、どの原材料が使われているかをまとめてみましたので、これから蓄電池システムを導入される方はご参考までに。

京セラ NEC 東芝 パナソニック テスラ
マンガン系 マンガン系 チタン酸系 三元系 NCA系

 

 

 

(記:田中圭亮)

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