太陽光業界の仕事に携わっていると
「うちはALCだからハウスメーカーにしか施工が出来ない、でも見積をとったら高額だったので太陽光の設置をあきらめた」とか
「ALCにはそもそも太陽光は設置できないから検討していない」と言った声をよく聞く。

これだけ太陽光の普及が進んでいる中で、ALCの建物だけは蚊帳の外となっているが現状だ。
本当にALCに太陽の設置はハウスメーカーしか出来ないのだろうか?
そしてそもそもALCには太陽光の設置が出来ないのか、二週に渡って検証して見たいと思う。

 

≪ALCにおける概要≫

ALC工法に代表されるへーベルハウス(旭化成ホームズ)は、大手ハウスメーカーの中でも積水ハウスに次いで第2位という地位を確立している。
ALCの特徴として、

①軽くて躯体に負担を掛けない(RCの約1/4の比重)

②断熱性に優れている(RCの1/10の熱伝導率)

③耐火性に優れ火災が発生しにくい

④一定の防音性能を有している

P1120691

などが挙げられます。

へーベルハウスが支持されている理由の一つに、『ロングライフプログラム』と呼ばれるサービスがこのメーカーの商品の中にビルトインされています。
大枠の内容としては、初回、1年、2年、5年、あとは5年おきに無料点検、そして30年目に400万円かかる大規模なメンテナンスを受けるというシステムになっています。
その後は5年ごとの有料点検、そして60年目まで構造躯体はメンテナンスフリーで安心して住めるという建て前です。

へーベル1
<出典:へーベルハウスのHPより>

≪ハウスメーカーに工事を依頼すると異常に高額?≫

ここで注意しなければいけないポイントとして、この中では『保証』という定義には触れられていない所です。

30年、60年という数字の重みから、これだけのサポート体制が確立できるのは大手メーカーであるが故であろうと思われる方は多く存在するはずです。
施工業者やその他関係者からも『ロングライフ保証』という、少し異なった呼び名で耳にする事もあります。

もちろんハウスメーカー側からは、この仕組みについては契約段階でお客様に向けて詳細に説明を実施しているはずですが、
住宅という分野に精通していない素人のユーザーの立場に立てば、中には『30年保証してくれるのか?』といった素朴な勘違いが生じても不思議ではありません。

実質的にへーベルハウスの保証に関しては、
『建築工事請負契約書の約款をご参照ください。』のみ。
確かに建物の瑕疵担保責任として『構造耐力上主要な部分』
つまり、屋根、壁、柱、基礎他に関して、日本国内のハウスメーカーは
共通してそれらの部分につき、10年の保証責任を負います。

しかし基本的にこの保証責任を超えてリスクを負うか否かに関しては、メーカーの任意となります。

言い換えると広義の意味において、ハウスメーカーが30~60年も保証する義務は
法律的には無いのです。
しなくても良い事をメーカーがどこまでフォローしてくれるのかについては、
曖昧な部分は残ります。

へーベル2

<出典:住宅保証機構のHPより>

 

ハウスメーカーがリフォーム時に使う決まり文句として、『自分達の所でリフォームをしなければ保証が出来なくなる』という台詞も、
その保証がどこからどこまでなのかを、明確に説明を求めて、それに対して明確な回答があって初めて納得するべき事ではないでしょうか。

例えば、屋根に穴を空ける工事を別のリフォーム会社で行った場合、
それが直接的な原因によって基礎の不具合を保証できなくなるという事に、どこまでの一貫性を保有しているのかという事です。

そもそも10年を超えると保証責任の埒外となる時期において、その保証はどこまでの効力を有しているのでしょうか。
安易に建替える訳にもいかなくなったそのタイミングにおいて、その台詞は保証という言葉で脅迫を受けているようなものです。

また、30年後に400万円の負担をユーザーが行ってメンテナンスを行うとあります。
主な明細は、屋根に掛かる防水と外壁周りの塗装、シーリグ材目地の交換という項目になっています。
鉄骨や基礎にメンテナンスが必要無いという考え方は、今時のハウスメーカーであれば珍しい訳でも、特別な訳でもありませんが、
確かにメンテナンスの時期が30年後で十分というのは、かなり頼もしい数字です。

新築とは言え築10年、長くとも20年という時期に塗装や防水工事というメンテナンスを迫られるケースが一般的である住宅業界で、
上記のような数字はやや業界的に踏み込んだ数字と言えるでしょう。

しかし、その一回のメンテナンスで400万円という金額は、一般的な塗装・防水工事の相場から考えれば、相当割高な数字であると言えます。
例えば、表1の試算通りにあてはめますと、防水工事はシート防水である旨が記載されています。

(㎡あたりの単価)

シート防水 ウレタン防水 FRP防水 アスファルト防水
防水工事 4,000円 5,000円 7,000円 8,000円

(㎡あたりの単価)

アクリル塗装 ウレタン塗装 シリコン塗装 光触媒塗装
塗装工事 2,500円 3,500円 4,500円 6,000円

※目地の打ち替え工事の相場は1,000円/m

 

45坪2階建て住宅において考えられる規模として、
屋根面積…約75㎡、外壁面積…約300㎡、目地長さ…約400m
多く見積ってもこの程度の規模で納まる事が想定できます。

この規模の住宅のメンテナンスとして考えられるおおよその合計価格の相場は、
30万円(防水工事)+135万円(外壁工事)+40万円(目地工事)=205万円

外壁塗装工事における最高ランクの光触媒塗装を施したとしても、
30万円(防水工事)+1,80万円(外壁工事)+40万円(目地工事)=250万円

上記のシミュレーションより、およそ2倍の価格差があり、400万円という金額には遠く及びません。
30年後の価格帯を現在価値に置き換えたとしても疑問が残る数字で、30年以内によほどのハイパーインフレでも起こらない限り、
こういった価格水準に到達する事は考えにくいでしょう。

それ以前に30年後に掛かる費用を、今の段階からユーザーにコミットさせるという発想は、やや乱暴なビジネスモデルであるという印象を受けます。

メンテナンスの工法に特許を有している等、そういった類の特殊な工事をするならともかく、塗装工事及び防水工事自体は技術的に共通ており、
悪徳業者に引っ掛からない限り、一定の水準でのクオリティは期待できます。

ハウスメーカー経由でメンテナンスを依頼する場合、そのハウスメーカーお抱えの業者に委託という形になるので、
悪徳業者に引っ掛かるというリスクは少なくとも回避できるのかもしれませんが、地場の塗装業者と比較して、
クオリティが変わらないのであれば、この価格差は悪徳業者並みかもしれません。

ハウスメーカーのお抱えの業者といっても、それらの業者は、その他のハウスメーカーや工務店の仕事を請負っており、
必ずしも、そのハウスメーカーに特化しているという訳ではありません。
ハウスメーカーの施工部は現場を監督するというのみで、実行は我々が通常アクセスできる規模の工事会社が行っているというのが実態です。

ここまで見てくると、ハウスメーカーに頼まなければ行けない事情はメーカー側の事情が色濃く反映されているように感じる。
太陽光の設置もメーカーでなければならない必然性は見つけられない。

(次回「ALCには穴をあけれないのか」へ続く)

 

(記:杉村健吾)

 

http://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/h_768,w_1024/v1478848666/564d9c3575fe65024a1a102173200624_gcodl0.jpghttp://res.cloudinary.com/hv7dr7rdf/image/upload/c_crop,h_1536,w_1536,x_256,y_0/h_150,w_150/v1478848666/564d9c3575fe65024a1a102173200624_gcodl0.jpgaltenergy作る太陽光業界の仕事に携わっていると 「うちはALCだからハウスメーカーにしか施工が出来ない、でも見積をとったら高額だったので太陽光の設置をあきらめた」とか 「ALCにはそもそも太陽光は設置できないから検討していない」と言った声をよく聞く。 これだけ太陽光の普及が進んでいる中で、ALCの建物だけは蚊帳の外となっているが現状だ。 本当にALCに太陽の設置はハウスメーカーしか出来ないのだろうか? そしてそもそもALCには太陽光の設置が出来ないのか、二週に渡って検証して見たいと思う。   ≪ALCにおける概要≫ ALC工法に代表されるへーベルハウス(旭化成ホームズ)は、大手ハウスメーカーの中でも積水ハウスに次いで第2位という地位を確立している。 ALCの特徴として、 などが挙げられます。 へーベルハウスが支持されている理由の一つに、『ロングライフプログラム』と呼ばれるサービスがこのメーカーの商品の中にビルトインされています。 大枠の内容としては、初回、1年、2年、5年、あとは5年おきに無料点検、そして30年目に400万円かかる大規模なメンテナンスを受けるというシステムになっています。 その後は5年ごとの有料点検、そして60年目まで構造躯体はメンテナンスフリーで安心して住めるという建て前です。 <出典:へーベルハウスのHPより> ≪ハウスメーカーに工事を依頼すると異常に高額?≫ ここで注意しなければいけないポイントとして、この中では『保証』という定義には触れられていない所です。 30年、60年という数字の重みから、これだけのサポート体制が確立できるのは大手メーカーであるが故であろうと思われる方は多く存在するはずです。 施工業者やその他関係者からも『ロングライフ保証』という、少し異なった呼び名で耳にする事もあります。 もちろんハウスメーカー側からは、この仕組みについては契約段階でお客様に向けて詳細に説明を実施しているはずですが、 住宅という分野に精通していない素人のユーザーの立場に立てば、中には『30年保証してくれるのか?』といった素朴な勘違いが生じても不思議ではありません。   ハウスメーカーがリフォーム時に使う決まり文句として、『自分達の所でリフォームをしなければ保証が出来なくなる』という台詞も、 その保証がどこからどこまでなのかを、明確に説明を求めて、それに対して明確な回答があって初めて納得するべき事ではないでしょうか。 例えば、屋根に穴を空ける工事を別のリフォーム会社で行った場合、 それが直接的な原因によって基礎の不具合を保証できなくなるという事に、どこまでの一貫性を保有しているのかという事です。 そもそも10年を超えると保証責任の埒外となる時期において、その保証はどこまでの効力を有しているのでしょうか。 安易に建替える訳にもいかなくなったそのタイミングにおいて、その台詞は保証という言葉で脅迫を受けているようなものです。 また、30年後に400万円の負担をユーザーが行ってメンテナンスを行うとあります。 主な明細は、屋根に掛かる防水と外壁周りの塗装、シーリグ材目地の交換という項目になっています。 鉄骨や基礎にメンテナンスが必要無いという考え方は、今時のハウスメーカーであれば珍しい訳でも、特別な訳でもありませんが、 確かにメンテナンスの時期が30年後で十分というのは、かなり頼もしい数字です。 新築とは言え築10年、長くとも20年という時期に塗装や防水工事というメンテナンスを迫られるケースが一般的である住宅業界で、 上記のような数字はやや業界的に踏み込んだ数字と言えるでしょう。 しかし、その一回のメンテナンスで400万円という金額は、一般的な塗装・防水工事の相場から考えれば、相当割高な数字であると言えます。 例えば、表1の試算通りにあてはめますと、防水工事はシート防水である旨が記載されています。 (㎡あたりの単価) シート防水 ウレタン防水 FRP防水 アスファルト防水 防水工事 4,000円 5,000円 7,000円 8,000円 (㎡あたりの単価) アクリル塗装 ウレタン塗装 シリコン塗装 光触媒塗装 塗装工事 2,500円 3,500円 4,500円 6,000円 ※目地の打ち替え工事の相場は1,000円/m   45坪2階建て住宅において考えられる規模として、 屋根面積…約75㎡、外壁面積…約300㎡、目地長さ…約400m 多く見積ってもこの程度の規模で納まる事が想定できます。 この規模の住宅のメンテナンスとして考えられるおおよその合計価格の相場は、 30万円(防水工事)+135万円(外壁工事)+40万円(目地工事)=205万円 外壁塗装工事における最高ランクの光触媒塗装を施したとしても、 30万円(防水工事)+1,80万円(外壁工事)+40万円(目地工事)=250万円 上記のシミュレーションより、およそ2倍の価格差があり、400万円という金額には遠く及びません。 30年後の価格帯を現在価値に置き換えたとしても疑問が残る数字で、30年以内によほどのハイパーインフレでも起こらない限り、 こういった価格水準に到達する事は考えにくいでしょう。 それ以前に30年後に掛かる費用を、今の段階からユーザーにコミットさせるという発想は、やや乱暴なビジネスモデルであるという印象を受けます。 メンテナンスの工法に特許を有している等、そういった類の特殊な工事をするならともかく、塗装工事及び防水工事自体は技術的に共通ており、 悪徳業者に引っ掛からない限り、一定の水準でのクオリティは期待できます。 ハウスメーカー経由でメンテナンスを依頼する場合、そのハウスメーカーお抱えの業者に委託という形になるので、 悪徳業者に引っ掛かるというリスクは少なくとも回避できるのかもしれませんが、地場の塗装業者と比較して、 クオリティが変わらないのであれば、この価格差は悪徳業者並みかもしれません。 ハウスメーカーのお抱えの業者といっても、それらの業者は、その他のハウスメーカーや工務店の仕事を請負っており、 必ずしも、そのハウスメーカーに特化しているという訳ではありません。 ハウスメーカーの施工部は現場を監督するというのみで、実行は我々が通常アクセスできる規模の工事会社が行っているというのが実態です。 ここまで見てくると、ハウスメーカーに頼まなければ行けない事情はメーカー側の事情が色濃く反映されているように感じる。 太陽光の設置もメーカーでなければならない必然性は見つけられない。 (次回「ALCには穴をあけれないのか」へ続く)   (記:杉村健吾)  -再生可能エネルギーの総合情報サイト-

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