前回、「再生エネルギー発電促進賦課金」を削減する方法をお教えします」という記事を執筆させて頂いたところ、
短期間でたくさんの反響を頂きました関係で、続編を執筆させて頂くことになりました。
再エネ賦課金は何か?という内容については、前回の記事を参照頂きたいのですが、
今回は太陽光発電を設置すると賦課金がどう変わってくるのか?をシミュレーションしながらご説明したく思います。

まずは、平均的な4kW(250Wパネル×16枚)システムを設置した場合を想定しましょう。
屋根の必要面積としては下の図面に記したように8m×4mぐらいの広さがあれば大丈夫です。

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そして、この4kWシステムが年間にどれぐらい発電するのか?ということですが、
メーカーシミュレーションツールを用いて算出しましたところ、4,422kWhという結果でした。
(東京府中、5寸勾配、方位0°、パワーコンディショナによる変換効率96%という条件です)
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実際のシミュレーションを行う前に想定しておかなければならないことがあります。

実は、どのようなパターンで電気を使っている家庭なのか?によって、
太陽光発電システムが賦課金削減に与えるインパクトが変わってくるのです。ここでは3つのパターンを想定しようと思います。

【パターン①】

夜に電気を多く使うパターン(例:共働き世帯など)
⇒日中:夜=2:8

【パターン②】

昼夜関係なく電気を使うパターン(例:専業主婦など)
⇒日中:夜=5:5

【パターン③】

昼に電気を多く使うパターン(例:自営業、大家族など)
⇒日中:夜=8:2

 

上記の比率というのは、いわゆる「自家消費:売電」の比率とイコールであると考えて頂ければと思います。
各パターン共通で、電力使用量を月平均で400kWh使用するというご家庭をイメージして下さい。
平成28年度の東京電力の電気料金制度で換算すると下記のような感じです。
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※燃料費調整額は毎月変動するためカウントしていません。

 

それでは、パターン①の試算を見てみましょう。
家消費20%、売電80%のパターンです。

 

年間発電量:4,422kWhを月平均に換算すると368.5kWh
うち、自家消費は20%なので73.7kWhè使用量が400kWh-73.7kWh=326kWhとなるわけです。
賦課金削減額としては、2.25円/kWh×73.7kWh=166です。
900円の賦課金に対して166円下がるわけですから、削減率は18.4ですね。

ではパターン②の場合はどうでしょうか。
自家消費50%、売電50%のパターンです。

パターン①同様の計算方法で算出しますと、
368.5kWh×50%×2.25円/kWh=415となります。
削減率としては46.1です。なかなかインパクトが出てきました。

そしてパターン③の自家消費80%、売電20%の場合。
368.5kWh×80%×2.25円/kWh=663
削減率は73.7です。

 

 

以下まとめです。

  パターン① パターン② パターン③
電気使用パターン 夜に多い 昼夜問わず 日中に多い
比率(自家消費:売電) 20:80 50:50 80:20
賦課金削減額(率) 166円(18.4%) 415円(46.1%) 663円(73.7%)
賦課金削減効果

当然、昼間に多く電気を使用されるご家庭のほうが太陽光発電で作った電気を優先的に使用しますので、
賦課金削減効果は大きくなります。
反対に日中ほとんど電気を使わないご家庭では、太陽光発電による賦課金削減効果は比較的小さくなります。

 

だからといって、「太陽光発電を入れないほうが良い」と考えるのは短絡的な結論とも言えます。
上記はあくまで一例ですし、前回お伝えしたとおり、賦課金は上昇傾向にあります。
加えて、最近では恐ろしいニュースもありましたね。
東京電力の福島第一原発にかかる廃炉・賠償費用が当初想定の11兆円を大きく上回る20兆円を超えるという発表があり、
その追加にかかる費用が電気料金に上乗せされる可能性があるという話です。

 

そうなった場合、ますます「電力会社に頼らない生活をしたい」という方が増えていくことが予想されます。
そうなりますと太陽光発電システムはもはや必須となります。
また、最近ではVPP(Virtual Power Plant)という地域やコミュニティで電気を融通し合う仕組みの実証実験が始まっています。
このVPPについては、別の機会にお話しさせて頂ければと思います。

 

 

 

(記:田中 圭亮)

 

でも初期投資が高ければ意味がない? 本当に太陽光発電は高いのでしょうか。

エネルギーを語る上では常識「発電コスト」ってご存知ですか?

VPPって何か知っていますか?

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